回る歯車/4 ページ40
「……成る程。君が迷おうが心底どうでもいいが、零を待たせてしまうのは問題だな」
前半中々失礼なことをいいながら、斎宮さんは目線だけで校舎を見上げる。
「チケットを配り終えたら、特別に案内してやっても良いが。それだと時間を食ってしまうのだよ」
「せやったら、おれがさくらちゃん案内するで！」
軽音部室やろ、と振り返った影片さんに、反射的に頷く。にっこり笑った彼は、再び斎宮さんを見た。
「ついでに、校舎内の人たちにもチケット販売してくるわぁ。ほんなら、問題ないやろ？」
「ああ、良いだろう。だが君は粗忽者だからね、何か問題を起こす前に速やかに帰ってきたまえ」
は〜い、と間の抜けた返事をして、影片さんは私の手を握る。「行こ、さくらちゃん！」小さく手を振る仁兎さんに手を振り返して、彼と私は校舎内に入った。
「……なんや、何話したらええか困るなぁ」
渡り廊下の途中。突然沈黙を破り、影片さんが呟いた。へへ、と恥ずかしそうに笑いながら、彼は濡羽色の髪をくるりと弄る。
苦笑いをかえすことしか出来ないことに、改めてコミュニケーション力の無さを感じた。
「そういや、さくらちゃんは「Valkyrie」知っとる？」
そう聞かれて、私は余程無知な顔をしていたらしい。知らんみたいやな、と苦笑した彼は一転、キラキラと両眼を輝かせ始める。
「Valkyrieは、お師さんが作った最強で無敵のユニットなんや！お師さんは完璧で、なずな兄ィは綺麗で……ほんまに、ほんまにすごいんやで！」
あまりにも嬉しそうに語るものだから、微笑ましくなった。同時に、なにか返さなきゃと頭をひねる。それから、声を振り絞った。
「ふ、二人がヴァルキュリーなんですか？」
「んー、おれも一応Valkyrieの一員なんや。……まぁ、おれは不器用やし出来損ないやからバックダンサーしかやらせてもらえないんよ」
あ、なんか話題間違った気がする。彼の表情に影が落ちて、寂しそうな色に変わった。
「おれも、いつか二人と歌ってみたいなぁ」
遠くをみながら小さくいった彼は、はっとして私に笑いかけた。なんやしんみりさせてしもうて堪忍な、と謝る彼に、首を振る。
「……そうや！さくらちゃん、やっぱりライブ来てくれへんやろか？」
「えっ？」
聞き返す私に、彼はいそいそと一枚のチケットを差し出す。躊躇する私に、影片さんはそれを押し付けた。
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まめだいふくもち(プロフ) - こたつさん» こたつさん、ご指摘誠にありがとうございます。漫画などでよく見る表現だったのですが、なにか事件が関連していたのですね…。勉強になりました。つきましては、その表現を修正させていただきます。コメントありがとうございました！ (2017年10月29日 15時) (
レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ - ドラム缶に東京湾というワードは某事件を連想させるので修正した方が良いのではないでしょうか？ (2017年10月29日 9時) (レス) id: ae4fce482d (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 抹茶粉さん» 抹茶粉さん、コメントありがとうございます！とてもとても嬉しいです…！私もれいさんにプロデュースされたい！という思いから書き始めたので、光栄です笑 (2017年8月2日 22時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶粉 - 零さんにプロデュースされるなんて夢見たいです…！もう始まりから胸のきゅんきゅんが鳴り止みません！笑 続き楽しみにまってます！更新頑張ってください！ (2017年7月26日 16時) (レス) id: 634a139de2 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - ベリーさん» ベリーさん〜！ご指摘ありがとうございます。修正してまいりましたのでご確認ください。そして、またこのような事態があればお知らせください。 (2017年1月14日 13時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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