望まれない英雄肆【戦国BASARA】 (ページ6)

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５謀神ページ6

「はぁ…きれー…」

安芸に到着した俺達を迎えたのは、荘厳を絵に描いたような厳島(いつくしま)本拠地と、周りを囲う海が陽光を反射して煌めいているなんとも言い難い光景だった。

見惚れるエリに、雄久が声をかける。

「エリさんの方がきれいです」

「…うん、なんで雄久君は私を口説こうとしてるのかな」

「何かを『きれいだ』って言ってる女のひとには、こう言えばいいんだって」

「誰に教わったんだろう…」

口を引きつらせるエリを先へ促して、門の前へ急ぐ。

俺達の目の前にそびえる門は、これまた周囲の絶景に劣らないほどの意匠が凝らされていた。

「はー、これもすっごい綺麗な門」

「お前の方が綺麗だぞ」

「…ッ、なんで常真もノるんだよ…」

先程の雄久よろしく揶揄ってやると、エリが顔を少し赤らめながら恨めしそうに睨んできた。

ついでに雄久も顔を真っ青にして睨んできた。

「常真さま、エリさんをくどかないでください」

「言い出したのお前だろうが…」

「コ、コホン。とにかく、この門開けちゃって良いのかな？誰もいないけど…」

「いや少し──」

俺が制止する前にエリは門に手をかける。
が、すぐに飛び退く。

「熱ッ！？」

ぶんぶんと手を仰ぐエリ。

熱い？木造の門がなんでそんな──

「門から離れろッ！！」

エリの首根っこを掴んで雄久と共に退避した瞬間。

門が熱に耐えきれず膨張し爆発した。

「な、なんなの？」

起き上がったエリは何が起きたのか分からない様だ。

煙が晴れて見えてきたのは、大男が両腕を広げたような形の台座に掲げられた巨大な鏡。

そして、その側でこちらを見下ろす一人の男。

「お前が毛利元就か」

「それがどうした」

呼びかけると、毛利は抑揚のない声で答えた。

「あの！家康さんから手紙が来てると思うんですけど！」

エリが大声で文句を言うが、毛利は気に留めず。

「あぁ、確かに来ていた。それがどうした(・・・・・・・)？」

「えっ」

毛利は淡々と続けた。

「旧織田軍は我の策略にとって障害でしかなかった。だが強大な勢力に下手に攻めるのは愚の骨頂。故にこれまで手を引いていた」

毛利は一度空を見上げ、また俺達の方を一瞥した。

「貴様ら新生織田軍とやらは妨害にこそなり得ないが大して力も持たぬ上、駒としては自由過ぎる。愚かな貴様らが我の兵器を弄って全滅、という事にでもして、盤上から弾くが解よ」

毛利の言葉を聞いたエリは、俺の方を向く。

「冗談、だよね？」

「そう見えるか？」

まったく、他の軍の様にいかないものか。