望まれない英雄肆【戦国BASARA】 (ページ16)

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15 加賀への案内役ページ16

「──いい？だから常真が私の事大大大大大大大好きなのはわかるけどそういう台詞はもっと然るべき時に然るべきシチュで──具体的に言えば夜とかに月明かりが二人を照らしロマンティックな雰囲気のなかそして二人は幸せなキ───ねえ、聞いてる？常真」

「すまん、聞いてなかった。もう一回最初から言ってくれ」

「えー」

加賀国(かがのくに)へ行く道中。
やいのやいのと未だにしつこく文句を言ってくるエリに、俺の対応は適当になっていた。
全く邪魔をするな、これから考えることもあるというのに。

「だからー、常真が私の事大大だいだい…大…あれ？大大…だい…えーと、今何回目だっけ？」

「何のこだわりだよ」

指を折りしょうもない事を数えるエリを放って、俺は先を歩く。

それとも数えるのに飽きたか、エリはようやく素直に付いてきた。

「…ねぇ、なんで馬じゃなくて徒歩なの？」

「懐かしいな」

「そんな懐かしむようなキャラじゃないじゃん常真…」

そう、俺達は徒歩で加賀に向かっている。当然到着は遅れるだろう。

「なんか遅れる理由でもあるの？」

「別に。久しぶりにのんびり行きたかっただけだ」

嘘だった。
俺はあまりこの先に行きたくないし、帰りたい。

前田が苦手というわけではない。…いや、そうとも言い切れないかもしれない。
俺は、あいつと顔を合わせる事を億劫に思っているのだから。

「何さそれ。せっかく馬に乗れるようになったのにー。安芸に行く時もロクに手綱握らせて貰えなかったしさー」

「お前は落ち着きがないからな。下手に乗せると馬が暴走しかねない」

「はー？そんな事ないし？秀満さんに『筋が良い(意訳)』的な事言われたし？」

俺が逸らした話にムキになったのか、エリは俺に見えるように、目を瞑って何やらしだした。

「…何やってるんだ？」

「イマジナリー馬(イメージトレーニング)」

どうやら脳内で想像上の馬の機嫌をとっているらしい。側から見れば阿保丸出しだ。

「よーしよし、おいでー、ほら。怖くない、怖くない。怖くなッッ！！ッッだ！！痛い！このイマジナリー馬めっちゃ痛い！！」

訂正する。ただの阿保だ。

大体、ただの想像が痛いってどういう…

「うま…！？常真これ馬じゃなくて熊！！ KUMAがいる！？食べられる！私食料にされる！！」

「は！？」

見てみると、何故気が付かなかったか分からないぐらいにでかい熊がいた。
しかもエリの首根っこに噛み捕まえてそのまま何処かへ行こうとしている。

「ぎゃーーーー…」

いかん、追いつけるか？というか、熊といえば…