エピソード１８４ ページ46
全ての炎が燃え尽きたのを確認して。
肩で息をしながら呟く。
一気に魔力(マゴイ)をつかったから、少し息切れがする。
すると。
仁「申し訳ありません！ まだ……！！」
――あと一つ。
袖口の勾玉からの報告が終わるよりも先に、もうじんわりとした光しか発していなかった魔法陣が、一瞬眩しく輝く。
今度は先ほどより小さいけれど、それでも人の頭くらいの灰褐色の塊が飛び出してきた。
人工魔導士達が必死に砕くよう呪文を唱えるけれど。
(間に合わない――！)
砕きそこなった岩が、避難する人を誘導する兵士の方に向かっていくのが見えた。
頭で考えるより、体が反射的に動いていた。
兵士「A様！？」
驚いた兵士の声。
私はその声の主に覆いかぶさって、岩を背中で受けようとした。
――私には防御魔法(ボルグ)がある。
たぶん怪我はしても、致死的ダメージはないだろう。
けれども。
(……あれ？)
しばらく経っても、背中への衝撃は感じなかった。
代わりに。
背後に人の気配を感じた。
振り向くと。
「紅覇お兄ちゃん――！？」
兵士を庇う私の背を。
更に庇う形で、兄が立っていた。
ゆっくりとその顔が、私に向かって振り向いた。
覇「まったく。Aはいつも人のことばかりだね。少しは自分のことも考えないとだめだよ」
――その額からは、血が流れている。
私の代わりに、紅覇お兄ちゃんが石に当たってくれたんだと気付く。
にっこり笑った兄が、ふらりと私に向かって倒れかかってきた。
その体を受け止めようと、急いで両手を伸ばした。
「……っ！ 私より紅覇お兄ちゃんですよ！！ なんで庇うんですか！！」
覇「……」
二人して、地面にへたり込む形になった。
支えた兄の体はやけに重い。
その腕がだらんと垂れ下がっているのを見て、お兄ちゃんは体に力が入らないんだ……、そう気づく。
「私なら防御魔法(ボルグ)もあるし――もっと怪我がすくな……」
怪我が少なくて済んだはず、と言おうとしたら。
紅覇お兄ちゃんがぷるぷると震えながら、ほとんど感覚もマヒしてそうな腕を私の頭の後ろに伸ばしてきた。
兄は腕の筋肉の重さを使って、私の顔を引き寄せる。
「……んっ！？」
口の中に。
――鉛の味が広がった。
それはもちろん、お兄ちゃんの唇にまで滴り落ちてきていた血の味で。
覇「もう、Aってば、動揺しすぎぃ。大事な女の子を守るのに理由って必要？」
「え……」
私は兄の行動が理解できなかった。
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一花(プロフ) - キャンディさん» コメント有難うございます。亀更新の上、返信まで遅くなり、申し訳ありません（汗） 面白いと言ってくださり嬉しいです。この作品は、連載作品の中で恐らく一番、趣味全開で書いてます。更新頻度が都合で減ってますが、宜しければ今後もお付き合い下さると幸せです！ (2014年10月5日 13時) (
レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
キャンディ - とても面白い話ですね！！楽しく読ましてもらっています。これからも更新頑張ってください！応援しています！！ (2014年9月23日 14時) (レス) id: 5d912ff5a3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» ありがとうございます！ なんだか、書いていると話の堂々巡りをしている気もしますが（汗） 楽しんでいただけるように、お話も少しずつ、前に進めますので、これからも宜しくお願い致します！(^-^) (2014年9月14日 18時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
グーミリア - はい！とっても楽しみにしています！ (2014年9月11日 21時) (レス) id: 9d3eb75538 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» コメント有難うございます！ 作品を良いと仰ってくださり、感謝します。そして……更新滞っていてすみません（滝汗） オフの諸事情で、更新頻度が減ってますが、途中放棄はしませんので！ 今までより、頻度はぐっと下がりますが続けますので、よろしくお願いします！ (2014年8月31日 12時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一花 | 作成日時：2014年7月25日 20時
