エピソード１４２ ページ4
「ところで、玉姉……今日はどうしたの？」
私は突然部屋に訪れた姉に尋ねた。
玉「姉が、大切な妹の部屋を訪れるのに理由が必要かしら？」
ウフフ、といつもの優しい笑顔が返ってくる。
『兄が一ヶ月ぶりに帰ってきた妹に会いたいとおもうのはおかしなことか？』
――ふと。
3日前。帰城したばかりの私に会いに、おやつを持って白瑛お姉ちゃんの部屋を訪ねてきてくれた炎兄の言葉が頭をかすめた。
あのときは、炎兄がただ妹に会いたいと思って探してくれていたと信じるのに、少しためらいがあった。
だって。炎兄は「世界統一」という目標のために、毎日休むことなく働いている。
そんな忙しい兄が、どうしてそこまで私を気にかけてくれるのか。……不思議でならない。
でも。
今は嫁入り準備で忙しいはずの玉姉に、似たようなことを言われても、それは不思議に思わない。
(……なんでかな？)
ぼーっとしていると、
「Aちゃん、どうかしたの？」
そう、心配そうに玉姉が私の顔を覗き込んでいた。
「あ、ううん。大丈夫だよ！ つい最近、似たような事を云われたなぁ、って思って」
玉「まぁ！ それは紅覇お兄様？」
両手をポンと胸の前で打ち合わせ、きらきらした目で聞いてくる。
なぜ、そこで紅覇お兄ちゃんの名前が出てきたのか、謎だけど。
私は首を横に振った。
「ううん。炎兄だよ」
玉「……そう」
(――え、なんでそこでしゅんとするんですか！？)
姉は残念そうに、顔をうつむけ、溜息を洩らす。
玉「ねぇ、Aちゃん」
俯いたままの玉姉が私を呼んだ。
「はい」
玉「Aちゃんは、お兄様方をどう思っているの？」
「……っへ！？」
急に何を言い出すのだろう。
姉の真意がつかめずにいると。
玉「いいえ！ なんでもありませんわ！！ それより、その書簡、凄い量ね！」
姉が私が整理していた書簡を指差した。
玉「それ、全部、北東郡のためのもの？」
「はい。そうです。必要な書がどれか検討がついたから、いらないものは、元の部屋に戻しに行こうと思って、整理していたところです」
頷く私に、姉はにっこりほほ笑んで。
玉「そうなの！ じゃあ、せっかくだしお手伝いするわ！！」
手伝いを申し出てくれた。
(――本当は彩凛に手伝ってもらおうと思っていたんだけど)
せっかくの姉の申し出だ。
断る理由はない。
「玉姉がいいのなら、ぜひ、お願いします！」
私はにっこりと笑って見せた。
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一花(プロフ) - キャンディさん» コメント有難うございます。亀更新の上、返信まで遅くなり、申し訳ありません（汗） 面白いと言ってくださり嬉しいです。この作品は、連載作品の中で恐らく一番、趣味全開で書いてます。更新頻度が都合で減ってますが、宜しければ今後もお付き合い下さると幸せです！ (2014年10月5日 13時) (
レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
キャンディ - とても面白い話ですね！！楽しく読ましてもらっています。これからも更新頑張ってください！応援しています！！ (2014年9月23日 14時) (レス) id: 5d912ff5a3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» ありがとうございます！ なんだか、書いていると話の堂々巡りをしている気もしますが（汗） 楽しんでいただけるように、お話も少しずつ、前に進めますので、これからも宜しくお願い致します！(^-^) (2014年9月14日 18時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
グーミリア - はい！とっても楽しみにしています！ (2014年9月11日 21時) (レス) id: 9d3eb75538 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» コメント有難うございます！ 作品を良いと仰ってくださり、感謝します。そして……更新滞っていてすみません（滝汗） オフの諸事情で、更新頻度が減ってますが、途中放棄はしませんので！ 今までより、頻度はぐっと下がりますが続けますので、よろしくお願いします！ (2014年8月31日 12時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一花 | 作成日時：2014年7月25日 20時
