エピソード153 ページ15
――『Aは僕のおもちゃなのに。生意気ぃ』
普段、ふざける兄に、怒ると返ってきていた言葉も思い出す。
そういえば、紅覇お兄ちゃんにそう言われたのはいつが最後だっただろう。
北東郡の帰りくらいから、そんなふうに言われなくなった気がする。
そんな風に、回想にふけっていると。
玉「何か思い当たる節はありましたっ!?」
なぜだか、妙に生き生きしだした玉姉の様子に、少し驚いだ。
「え、いや……最近、紅覇お兄ちゃんがあんまりふざけてこないなぁ、って思いまして」
玉「まぁ! そうなの!?」
「はい。……いえ、こちらとしては、仕事が捗るんで有難い限りなんですけど。何かあったのかなって」
玉「うふふ。Aちゃんは、ちゃんとお兄様のことを見て、考えてますのね!」
「いや、見るって言うより……」
(……って、いうか聞いてませんね)
姉は満足そうに、うんうんと頷き続けていた。
「やっと、あの兄も大人になったのかな、って思っただけで」……そんな私の言葉は、どこかに消えた。
その代わり、妙に納得した様子の玉姉が、私の両手をもう一度握ってきた。
玉「うふふ。Aちゃんがお兄様方を、ちゃんと見て考えているのならいいんですのよ! 上辺の言葉じゃなくて、その言葉が何で出てくるのか……、きっとヒントになりますわ!」
「え……?」
(ヒント……って、何のヒントですか?)
聞こうと思ったけど、止めた。
玉姉が頬を紅潮させて、嬉しそうに笑っていたから。
今はもう、その顔が見れたら良いやって思った。
玉姉は、紅覇お兄ちゃんの、ふざけてきていた意味を考えろ、とたぶんいいたいんだろう、と思ったから。
私には、どう考えても、妹で遊ぶ兄にしか思えてなかったけど。
でも。
お姉ちゃんがそう言うのなら、今度、紅覇お兄ちゃんのことで気になる言動があれば、何でなのか、……考えてみよう。
そう密かに思うことにした。
そうしたら。
ぐう〜〜。
お夕飯をまだ食べてない私と玉姉のお腹が、空腹を告げた。
タイミングがいいというか、なんというか。……ただ、玉姉と私はお互いに顔を見合わせて。
それから。
今度は二人で、くすくす笑ってしまった。
玉「さて、と! 外で夏黄文を待たせてますし、そろそろ部屋に戻りましょうか」
「はい」
私たちはそこで話を切り上げて、部屋を出た。
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一花(プロフ) - キャンディさん» コメント有難うございます。亀更新の上、返信まで遅くなり、申し訳ありません(汗) 面白いと言ってくださり嬉しいです。この作品は、連載作品の中で恐らく一番、趣味全開で書いてます。更新頻度が都合で減ってますが、宜しければ今後もお付き合い下さると幸せです! (2014年10月5日 13時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
キャンディ - とても面白い話ですね!!楽しく読ましてもらっています。これからも更新頑張ってください!応援しています!! (2014年9月23日 14時) (レス) id: 5d912ff5a3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» ありがとうございます! なんだか、書いていると話の堂々巡りをしている気もしますが(汗) 楽しんでいただけるように、お話も少しずつ、前に進めますので、これからも宜しくお願い致します!(^-^) (2014年9月14日 18時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
グーミリア - はい!とっても楽しみにしています! (2014年9月11日 21時) (レス) id: 9d3eb75538 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» コメント有難うございます! 作品を良いと仰ってくださり、感謝します。そして……更新滞っていてすみません(滝汗) オフの諸事情で、更新頻度が減ってますが、途中放棄はしませんので! 今までより、頻度はぐっと下がりますが続けますので、よろしくお願いします! (2014年8月31日 12時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年7月25日 20時