検索窓
今日:1 hit、昨日:26 hit、合計:48,163 hit

エピソード149 ページ11

「うん。当り前だよ?」

玉「そう。……当り前……そうですわね」

(? なんだか悲しそうな気がするのは気のせいですか?)

玉姉は、私の手を握りしめたまま。うつむいた。
ぎゅっと、握られた手に、さらに力がこもるのを感じた。

玉「でも! Aちゃんが紅炎お兄様に抱く感情は、……それだけではないでしょうっ!?」

再び顔をあげた玉姉は、泣きそうなくらい、真剣な表情。

「……」

それでも。
私は答えにためらった。
その質問に答えてしまったら、私を「妹」として大切にしてくれる炎兄との関係が崩れてしまいそうで。……怖かった。

でも。

「ね、私は誰にも言いませんわ。Aちゃんは私を信じてくれるでしょう?」

(……もちろん。当り前だよ)

握りしめた私の手のひらを見つめて、優しく撫でる玉姉。
そんな玉姉に、隠し事をさらに増やすのはできない気がした。

「うん」

私の頷きに、穏やかな笑顔で顔を上げた玉姉が、

「大丈夫。ここには私達しかいませんわ。……お嫁入り前の姉に、Aちゃんの本当の気持ちを教えて頂戴?」

そう、穏やかに問う。

「……わかったわ」

私は真剣な目で再び頷いた。

「私は……」

玉「――私は?」

一度だけ言葉を区切って、深呼吸。
深く息を吐いて、胸のざわめきを抑えようとする。
自分の気持ちを姉に言う、……それすらもドキドキするくらい、自分の中の気持ちが大きく育っていたことに驚いた。
いつからか、なんてわからない。
ただ、幼い頃から、あの兄の優しさに救われて。
あの兄のためになろうと必死だった。
想いの芽は、たぶんまだずっと小さかった頃から育っていたんだと思う。









「――私は、炎兄が好きです」









口にしてしまえば、あっけない。
たった一言。
それでもドキドキする。

「私は家族として以上に……兄としてではなく、炎兄が、「男の人」として好きです」

ゆっくりと告白した声は、自分でも驚くくらい、穏やかな響きをしていた。



玉「――そう」

しばらくの間をおいて、玉姉が深く頷いた。
それから、顔を上げた玉姉は満面の笑み。

玉「やっぱり、そうですのね!」

「う、うん」

私にとっては、ずっと誰にも言えず、秘めていた気持ち。
炎兄本人にいうわけではないけれど、それでも。……同じ家族に言うのはドキドキした。
だけど。
帰ってきた姉の声は、あまりにも、あっけらかんとしていて。
少しだけ、拍子抜けしてしまった。

エピソード150→←エピソード148



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (76 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
74人がお気に入り
設定タグ:マギ , 練紅炎、練紅覇 , 煌帝国   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

一花(プロフ) - キャンディさん» コメント有難うございます。亀更新の上、返信まで遅くなり、申し訳ありません(汗) 面白いと言ってくださり嬉しいです。この作品は、連載作品の中で恐らく一番、趣味全開で書いてます。更新頻度が都合で減ってますが、宜しければ今後もお付き合い下さると幸せです! (2014年10月5日 13時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
キャンディ - とても面白い話ですね!!楽しく読ましてもらっています。これからも更新頑張ってください!応援しています!! (2014年9月23日 14時) (レス) id: 5d912ff5a3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» ありがとうございます! なんだか、書いていると話の堂々巡りをしている気もしますが(汗) 楽しんでいただけるように、お話も少しずつ、前に進めますので、これからも宜しくお願い致します!(^-^) (2014年9月14日 18時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
グーミリア - はい!とっても楽しみにしています! (2014年9月11日 21時) (レス) id: 9d3eb75538 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» コメント有難うございます! 作品を良いと仰ってくださり、感謝します。そして……更新滞っていてすみません(滝汗) オフの諸事情で、更新頻度が減ってますが、途中放棄はしませんので! 今までより、頻度はぐっと下がりますが続けますので、よろしくお願いします! (2014年8月31日 12時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:一花 | 作成日時:2014年7月25日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。