エピソード149 ページ11
「うん。当り前だよ?」
玉「そう。……当り前……そうですわね」
(? なんだか悲しそうな気がするのは気のせいですか?)
玉姉は、私の手を握りしめたまま。うつむいた。
ぎゅっと、握られた手に、さらに力がこもるのを感じた。
玉「でも! Aちゃんが紅炎お兄様に抱く感情は、……それだけではないでしょうっ!?」
再び顔をあげた玉姉は、泣きそうなくらい、真剣な表情。
「……」
それでも。
私は答えにためらった。
その質問に答えてしまったら、私を「妹」として大切にしてくれる炎兄との関係が崩れてしまいそうで。……怖かった。
でも。
「ね、私は誰にも言いませんわ。Aちゃんは私を信じてくれるでしょう?」
(……もちろん。当り前だよ)
握りしめた私の手のひらを見つめて、優しく撫でる玉姉。
そんな玉姉に、隠し事をさらに増やすのはできない気がした。
「うん」
私の頷きに、穏やかな笑顔で顔を上げた玉姉が、
「大丈夫。ここには私達しかいませんわ。……お嫁入り前の姉に、Aちゃんの本当の気持ちを教えて頂戴?」
そう、穏やかに問う。
「……わかったわ」
私は真剣な目で再び頷いた。
「私は……」
玉「――私は?」
一度だけ言葉を区切って、深呼吸。
深く息を吐いて、胸のざわめきを抑えようとする。
自分の気持ちを姉に言う、……それすらもドキドキするくらい、自分の中の気持ちが大きく育っていたことに驚いた。
いつからか、なんてわからない。
ただ、幼い頃から、あの兄の優しさに救われて。
あの兄のためになろうと必死だった。
想いの芽は、たぶんまだずっと小さかった頃から育っていたんだと思う。
「――私は、炎兄が好きです」
口にしてしまえば、あっけない。
たった一言。
それでもドキドキする。
「私は家族として以上に……兄としてではなく、炎兄が、「男の人」として好きです」
ゆっくりと告白した声は、自分でも驚くくらい、穏やかな響きをしていた。
玉「――そう」
しばらくの間をおいて、玉姉が深く頷いた。
それから、顔を上げた玉姉は満面の笑み。
玉「やっぱり、そうですのね!」
「う、うん」
私にとっては、ずっと誰にも言えず、秘めていた気持ち。
炎兄本人にいうわけではないけれど、それでも。……同じ家族に言うのはドキドキした。
だけど。
帰ってきた姉の声は、あまりにも、あっけらかんとしていて。
少しだけ、拍子抜けしてしまった。
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一花(プロフ) - キャンディさん» コメント有難うございます。亀更新の上、返信まで遅くなり、申し訳ありません(汗) 面白いと言ってくださり嬉しいです。この作品は、連載作品の中で恐らく一番、趣味全開で書いてます。更新頻度が都合で減ってますが、宜しければ今後もお付き合い下さると幸せです! (2014年10月5日 13時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
キャンディ - とても面白い話ですね!!楽しく読ましてもらっています。これからも更新頑張ってください!応援しています!! (2014年9月23日 14時) (レス) id: 5d912ff5a3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» ありがとうございます! なんだか、書いていると話の堂々巡りをしている気もしますが(汗) 楽しんでいただけるように、お話も少しずつ、前に進めますので、これからも宜しくお願い致します!(^-^) (2014年9月14日 18時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
グーミリア - はい!とっても楽しみにしています! (2014年9月11日 21時) (レス) id: 9d3eb75538 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» コメント有難うございます! 作品を良いと仰ってくださり、感謝します。そして……更新滞っていてすみません(滝汗) オフの諸事情で、更新頻度が減ってますが、途中放棄はしませんので! 今までより、頻度はぐっと下がりますが続けますので、よろしくお願いします! (2014年8月31日 12時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年7月25日 20時