エンドロールのその後で。【黒羽快斗】

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快斗くんが、俺ん家おいでよと誘ってくれたので、そのまま江古田へと帰ることにする。

お仕事道具を寺井さんに預けに行く快斗くんを待ちながら、渡しそびれたチョコアイスの袋を破る。

少し溶けかけのアイスを1口齧る。うん、美味しい。


「あー、なんか美味そうなの食ってる」

「おかえり」

「ただいま。なー、俺にも頂戴」


はい、とアイスを差し出すと、快斗くんは私の手首を掴んで口元まで持って行った。

え、と思わず引っ込めそうになる手首をきゅ、と引っ張った快斗くんは、そのままアイスを齧ると手を離す。

美味しい、とぺろりと唇を舐める快斗くんを見て、私の顔がぶわりと赤くなったのが分かった。

そんな私を見て、快斗くんは満足そうに笑う。


「…ふ、普通に食べたらいいじゃん」

「普通に食ったじゃん？」


なーもう1口、と言う快斗くんにアイスを押し付ける。快斗くんはちぇ、とつまらなそうに唇を尖らせた。


本当に油断ならない。こうもからかわれてばかりだと悔しい。


「…チョコパフェ奢ってあげようと思ってたけど、やめる」

「えっなんでっ！」


パフェ食べたい！と騒ぐ快斗くんを置いて、改札へ向かう。

ICカードをかざして改札を通ると、後ろから追いかけてきた快斗くんが横に並んだ。


「なー、今日泊まっていけば？」

「えっ？無理だよ、出掛けるとしか言ってないし」

「えー？久しぶりに会えたのに」

「…私も、泊まりたいけど」

「…なら、泊まってけよ」


チラリと横を見ると、蒼い瞳が私をまっすぐに見つめている。


…そりゃあ私だって、久しぶりに会えたし、今日は土曜日だし。泊まりたいけど。


「快斗くん、今日帰ってきた所なのに疲れてない？」

「疲れた。今回は俺ちょー頑張ったし？」

「じゃあゆっくりした方がいいんじゃ」

「だからAと過ごしたいんだけど」


Aといる時が1番ゆっくり出来る。


そんな事を言われてしまっては、私には断る術が無い。


「…本当にいいの？」

「だから、俺が来てって言ってんの。家行く前にスーパー寄って帰ろうぜ」

「うん！」


タイミング良くやってきた電車に2人で乗り込む。

スーパーに寄って、アイスを買って。快斗くんが食べたい晩ご飯を作ろう。

駅前のカフェでパフェを奢ってあげてもいい。


そんな事を考えていたら、快斗くんが私の手をそっと握った。

私もそれに応えるように握り返すと、快斗くんが嬉しそうに微笑んだ。


今日はたくさん、甘やかしてあげよう。

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