エンドロールのその後で。【黒羽快斗】

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…とりあえず、このチョコアイスは私が食べていいよね。

後で食べようと決意して、ゲートの方へ視線を戻す。


すると、

「ぜーったい、離さないからね、

怪盗キッド！！」

「待ってたぞー、キッド！！」


女の子がそう言ってガッチリ腕を固めたと同時に、機動隊が快斗くん達を囲む。

まじ？と焦った表情の快斗くんがチラリと見えた。


もう知らないもんね、と言いたいけれど、捕まってしまうのは嫌だ。

逃げ切れるのかな…とハラハラしていたら、突然ポン！と煙が発生した。

あっという間に、快斗くんも女の子も見えなくなる。


機動隊員と煙でもみくちゃになっているゲートを必死に目を凝らして見ていると、その輪からこっそり出てきた小学生くらいの男の子が、おじいさんの後ろでワタワタと着替えているのが目に入った。


「あーーっ！！逃げられたあーー！！！」


女の子が悔しそうに叫ぶ。逃げたのか、良かった…。



ふう、と息を吐くと、トントンと後ろから肩を叩かれた。


「よっ、A」

「快斗くん！」


振り向くと、いつも通りのくせっ毛な快斗くん。

いつの間にか服も変わっていて、さっきのは人違いだったのでは？なんて思ってしまう。


「…逃げ切れて良かったね？」

「ほんと参ったぜ。気付かれてたとはなー」


やれやれと息を吐く快斗くんはいつも通りで、無事に帰ってきてくれたんだと嬉しく思う。


…でも。


「…シンガポールで浮気ですか？ナイトプールはあの子と入ったの？」

「へっ？」

「仲良さそーに歩いてたよね」


ちら、と先程の集団に目線をやってそう言うと、快斗くんがなんのこと〜？と言いたげに視線を逸らす。…バレバレだ。


「だあって、変装の都合上仕方なかったんだよ。ごめんって、Aちゃん」

「…」

「じゃー今度一緒にナイトプール行こうぜ！」

「それ快斗くんが行きたいだけだよね？」

「え〜？」


本当に、キッドのポーカーフェイスはどこへいったのか。

視線を泳がせながら誤魔化す快斗くんを見て、ふは、と思わず笑ってしまった。


「嘘だよ、怒ってない」

「ホント？良かった」


安心したように笑う快斗くんを見て、私も笑う。

本当に、帰ってきてくれて良かった。


「快斗くん、おかえり」

「おう、ただいま」

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