第34話 ページ35
｢高尾……？｣
真ちゃんの意図がさっぱり分からなくて、聞き返すと真ちゃんは言った。
｢高尾と、、仲良いだろう｣
仲は良い。
あの日以来もっと仲良くなった。
それでも、私の好きな人はずっとずっと真ちゃんなのだ。
高尾を好きになることは、ない。
｢確かに仲はいいけど、、高尾は違うよ｣
私の言葉にさらに訝しげな顔をする真ちゃん。
｢そうなのか、、？｣
私の好きな人は真ちゃんだよ？
言えたらどれだけ良いだろうか。
｢そうなのだよ｣
なんて笑って誤魔化すことしか私にはできなかった。
･
｢真ちゃん、最近大学どー？｣
私の一言でごく在り来りな会話が始まった。
一人暮らしの大変さや、
自炊の難しさ、
お互いの大学の教授の面白いところとか、
バスケのことまで。
沢山話をした。
･
真ちゃんが時計を見たのに気づいて、私も時計を確認すると、そろそろ1時になる頃だった。
｢もう、時間……？｣
｢いや、、まだ大丈夫なのだよ。
それより、それ食べないのか……？｣
真ちゃんが指さしたのは、私の目の前においてある食べかけのオムレツ。
ほんの少しだけ食べられたそれは、未だに形を保ったままテーブルの上に置いてあった。
｢来る前にお菓子食べてきちゃって……笑笑｣
病気のせいで、食べれなくなったのがバレないように笑って誤魔化した。
｢ほんとに、お前はバカなのだよ。……貸せ｣
真ちゃんは、そう言って私の食べかけのオムレツを食べてくれた。
そういう所、好きなんだよ。
．
そして、ふと思った。
｢『握手』、、みたいだね……｣
ボソッ呟いたその声は真ちゃんまで届いたらしい。
は？という顔を真ちゃんは向けた。
｢覚えてないよね笑｣
そう笑えば、真ちゃんは｢意味がわからないのだよ｣と言った。
．
やっぱり、真ちゃんにとって、中三の『あの日』は
そんなに思い出深くなかったんだなぁ。
……………
1.14
私が真ちゃんと結婚する、なんて事はあるのかな？
｢もし、俺がお前と結婚してたらどうする｣
真ちゃんにとってささいな一言なんだろうけど、嬉しかった。
でも真ちゃんは、私のことなんてただの幼なじみとしか思ってない。
幼なじみの名残で毎日登下校一緒にしてても、
真ちゃんはなんとも思ってない。
こんなにも、真ちゃんのこと好きなのになぁ。
．
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作者名：aoihalu | 作成日時：2018年12月14日 19時
