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おかえりなさい ページ4

中也だ、と思って少し早足で玄関へ向かいます。

やっぱり中也でした。
帽子と外套を腕にかけて、私を抱き上げて「ただいま」と笑いました。
ですが、一変して怒り顔でどすんどすんと足音をわざとならしながら部屋の扉を開けたんです。
その瞬間、耳を劈くような声で怒鳴りました。

「太宰ィ!!手前、また勝手に人の家に上がり込みやがって!!」

すると、包帯の人は耳を塞いで、てんで悪びれる様子も無く玄関の方を指差しました。

「だって簡単に開くんだもん。それより、猫飼ってたんだね。」
「簡単に開くだァ!?冗談じゃ無ェ!!どうせピッキングでもしたんだろ!!」
「当たり。でも私の話聞いてた?猫飼ってたんだね。」
「…あぁ、こいつは拾ったんだ。可愛い奴だろ?」

な?と言って私の方を見つめたので、私はそれが嬉しくて、にゃあと一回鳴きました。
首元に頭を擦り寄せると、くすぐったいと言いながら嬉しそうな顔をする中也。
私は貴方のそんな笑顔がもっと見たくて、いつまでもじゃれついていました。
でも不意に包帯の人___太宰さんが、中也の腕の中にいた私をひょいと取り上げて、床に下ろしました。
暖かかったのに。
すこし残念です。
中也の方を見ると、太宰さんが中也を抱き締めていました。

「ねぇ、猫ばかり見ていると私寂しいのだけれど。」

すると、中也はカッと顔を赤くして、莫迦!とぽかぽか太宰さんを叩き始めたのです。
嬉しそうに見えますよ、私には。
やがて太宰さんが中也に優しく口付けると、中也も大人しくなり、そして嬉しそうに頬を紅く染めました。

「シャワー浴びても良いか…?」
「駄目。このまま部屋行くよ。」

そう言って、奥の部屋へと消えていきました。
もう私は見てません、聞いてませんからね。


次の日の朝、中也は真っ赤な跡をいくつもつけて私にごはんをくれました。
その跡が少し心配になり、ぺろりと舐めると、鏡でそれを見つけたようで、真っ赤な顔で「手前なァ…」と頭を撫でてきました。
中也が無事ならいいです。

待っていて→←知らない包帯



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なぴあ - すごく面白かったです〜!!! 猫も中也も好きなので幸せでした(泣) これからも頑張って下さい!!! (2022年3月11日 16時) (レス) @page8 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - 既存の作品をもとにした二次創作なのでオリジナルフラグを外してください。多分低評価もそれが原因かもしれません。 (2018年4月9日 20時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうしゅ(プロフ) - はじめまして!!この話をよんで思わず涙が零れそうになりました。これからも頑張って下さい (2017年12月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 7cee4984be (このIDを非表示/違反報告)
りんご - (涙) (2017年3月24日 14時) (レス) id: 0e268ef785 (このIDを非表示/違反報告)
らいむ@エミリア(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!感動して頂けるものが書けたかどうか不安だったのですごく嬉しいです・・・!!これからも頑張ります!! (2017年2月15日 0時) (レス) id: 484db0ba6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らいむ@エミリア | 作成日時:2016年12月31日 23時

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