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ep.24 ページ26

「エミリ・ヴァルト、じゃったかの」


 「!」



気持ちを整えた時、突然誰かから声をかけられた。

振り返ると、50歳後半から60歳前半と思われる男性が立っていた。

金のフチの赤いたすきをかけている。



「はっ」



敬礼をする。

この人は確か駐屯兵団司令官の、名前は…。



「ピクシスじゃ。お主のことは、噂からもエルヴィンからも良く聞いておる」


「はぁ」



『エルヴィン』とは、きっとエルヴィン団長のことだろうな。

私はまだ会ったことはないけど。

それにしても噂ってなんだ?

人類最強の女版だとかいうやつだろうか。

それとも、数日前に天井に頭をぶつけた時のことだろうか。

…なわけないか。



「して、その顔はどうした?」



一瞬何のことか分からなかったが、さっき自分で叩いた頬のことだろう。

多分、相当赤くなっている。



「あ、いえ。先ほど自分に活を入れたところでして…」



そう言うと、ピクシス司令は目を丸くした後、噴出した。



「活の入れ具合が尋常じゃないのう!」



はっはっはっ、と豪快に笑う。



「自分でもそう思います」



エミリは苦笑し、熱がおびた頬に軽く触れながら肯定した。

ひとしきり笑ったピクシス司令は、はぁ、と息を吐いて私を見た。



「今回の壁外調査のこと、お主はどう思った?」


「どう、とは…?」



質問の意図が掴めず聞き返す。



「残るよう言われたのだろう?そして、わしらの手伝いをするようにとも」


「…はい」


「それで、どう思ったのじゃ?」



考えてみる。

今どんな気持ちが私の中にあるのか。

この世界の“私”がどう感じているのか。

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作者名: | 作成日時:2019年2月7日 17時

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