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ヒノカミ様の祝福 ページ14

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──そして、その日が来る。




稚児が生まれた。その知らせを受けるのと、夜の帳が降りるのはほぼ同時で。


カラン、と耳飾りが揺れるのを合図に。



(どうか、どうか。生まれてきたあの子が、理不尽にその幸せを奪われることのないように)


私は、舞い始めた。



***



──常に父さんの動きを思い浮かべて。

──今まで練習したきた中で、最も効率のいいと思える動きを、なぞる。



ただ、それだけに集中して。




カラン、カランと。耳飾りが揺れる音と、風を切る音が耳につく。



そんな中で、ふと。




『──A』



──脳裏に蘇った記憶があった。




***




私は、昔から記憶力が良くて。だから、一度見たものを忘れたことがなくて。それが一瞬のことでも、後から鮮明に思い出せた。それが当たり前だった。


──でもそれは、他人(ひと)にとっての当たり前ではなくて。


怖くなって。哀しくなって。そうだ。あの時、私は泣いていたんだ。森の中、一人で。


見つけてくれたのは、父さんだった。



『実はね、A。Aがまだ母さんのお腹の中にいる時、父さんは一度だけ、Aのためだけに神楽を舞ったことがあるんだ』



父さんは、そう言って微笑んで。



『元気な子が生まれますように。健やかでありますように。自分で幸せを掴めるような、強く優しい子に育ちますようにと、そう祈りながら』



そう言って、頭を撫でてくれて。



『だから、Aがどんな能力を持っていたとしても、怖がることはないんだ。だってそれはきっと、Aが幸せになるために、ヒノカミ様が授けてくださった祝福なんだから』



──ああ、そうだ。



『沢山幸せを見つけておくれ、A。愛しているよ、俺たちの可愛い娘……』



(私、も────)



愛してた。大切だった。家族全員、世界で一等、何よりも。


鬼に喰われるというのは、どんなに苦しかっただろう。痛かっただろう。どうして私は、隣にいてあげられなかったんだろう。


こんなことを考えるのは初めてだった。多分、炭治郎の言葉を聞いたから。前を向かなきゃと思ったんだ。だから、私は私の心にすら向き合ってあげられてなかった。今に至るまで、ずっと。


ずっと。見ないフリをしてきた。でも。



(せめて……あの子だけは、どうか、理不尽にその幸せを奪われることのないように。私の、家族の分まで)


そう、祈りを込めて。


私は、舞い続けた。

愛しい子→←神霊の宿る魂



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ドジ猫(プロフ) - 絵宙(えそら)さん» 一応、炭治郎の髪ってことで炭治郎本人は数に入れてないです! わかりにくくてすみません!汗 (2020年3月30日 6時) (レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - ページ5の「込められた想い」では、弟の数は、茂、六太、竹雄、炭治郎(漢字が違うかもしれません)で、四人だと思います。細かくてすいません。これからも頑張ってください!楽しく読ませていただいてます! (2020年3月30日 3時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
由亜(プロフ) - とっても面白いですね!一気に読んじゃいました。寝転びながら読んでたんで、シーツの一部分になみだのしみが・・・(泣きました)これからlet's続編で御座います!面白い小説を有難う御座いました (2020年2月24日 4時) (レス) id: d2128f7714 (このIDを非表示/違反報告)
タートル(プロフ) - 失礼致します!面白くて一気に読んでしまいました!私も鬼滅のお話を書いているので良かったらお越しください。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: 77bb05bd52 (このIDを非表示/違反報告)
ドジ猫(プロフ) - なるは。さん» ありがとうございます!嬉しすぎて顔がにやける……!これからもよろしくお願いします!! (2020年2月16日 22時) (レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドジ猫 | 作成日時:2019年12月19日 0時

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