留年組のキスシーンとその先【朔間零】 (ページ12)

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3年教室から眺める学院全体の景色。

零を眺めて。笑顔を眺めて。

ガン萎え。闇。

死なないけど死にたいとか普通に考える。

また後輩数人と笑ってる。

「あー俺が見たい笑顔。100点だね。今日のおかずにしよ。」

俺に向けてくれる妄想にしよう。

ビクリ。

自分の身体が飛び跳ねる。

俺と変わらないくらい白くて細い指が絡んでくる。

びっくりして顔を上げると。

「恋人っぽいことがしたいのか？」

レオがいた。

「びびったんだけど。何してんの？」
「制服を取りに来た。」
「ちょっと外肌寒いもんな。」
「帰らないのか？」

指と指の間にレオの指が潜り込んできて。

ぎゅっとされて、親指だけ少し離れて、指の先からなぞられる。

「一緒に帰ろって言ってくんないかなぁって。」

思ってないけど。言うわけねぇし。

期待すらしないけど。

なんとなくそう言ってみた。

「レイと何かあったのか？」
「何もないよ。」

何もないし。変わらなさすぎて。

零は変わっているはずなのに、俺の前では変わらない。

「何もないって顔じゃないだろ。」

泣いてないのにまぶたの上をなぞられる。

「泣くほどのショックじゃないよ。なんかなーって感じ。」
「病んでる？」
「ほどほどにね。」

レオの両手が俺の顔ふにゃふにゃ触ってきて何って笑ってしまう。

「病むな。」
「慰め方下手くそすぎなんだけど。」

不器用すぎだけど。昔から優しい。

言葉足らずだけど助けてくれる。

そんな奴。

机をずらして立ちっぱなしのレオの腰に抱きついたら頭を抱きしめられた。

あったか。なんかこの瞬間泣きそうになる。

少し離れたレオは当たり前みたいな顔してキスしてくる。

触れて、舌を入れられて。

呼吸が苦しくない程度に絡まれる。

髪を手ぐしで解かされて、最後に額にキスされる。

「一緒に帰る？」
「家逆方向じゃん。」
「曲作るから学校に泊まるし問題ない。」
「……優しすぎ。なんで落ち込んでんの知ってんの？」
「昨日泣きそうな顔で校門潜ってるの見た。」

制服取りに来たなんて嘘じゃんね。

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