貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ28)

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－You Side－

気付いた時には、廊下を爆走してた。

英智くん、せっかく綺麗な手を差し伸べてくれたのに無視しちゃってごめんね。
敬人も、勢いよく起き上がったせいで偶然頭突きしちゃってごめんね。

ぜんぶぜんぶ、日和のせいだ！！

＿＿＿＿

衣装づくりなどで時間を潰していれば、すっかり日も落ちて辺りは真っ暗になってしまった。

連なる出窓からの景色を眺めて帰路へつこうとしていると、うっすらと暗闇から現れた人影。

ゾクリと背筋が凍る。やだなぁ、気味悪い。

「あれっ、Aさんじゃないっすかぁ」

『…………ジュ、ン？』

耳慣れた声が、廊下に響く。そりゃあ確かに、日和がいるならジュンもいるとは思っていたけれども。

人違いだったら申し訳ない……そんなことを考えつつ、暗闇へと近寄った。

「久しぶりですねぇ、元気にしてました？」

『……ほんとにジュンだ、』

目が慣れてきた為、色彩がはっきりとしてくる。
ジュンから見れば軽く意味不明な発言をしている私に、彼は微笑みながらも首を傾げていた。

「おひいさんから少し話は聞いてましたけど、オレからしたら元気そうなんで良かったですよぉ？」

『……あ、うん。元気は元気だけど、』

何でそう曖昧なんスか、と可笑しそうに笑うジュンを見て、ついバッグハンドルを持つ手が力む。

玲明にいた時の私は、自分が自分じゃないみたいで、大嫌いだった。

アイドルって、もっとキラキラしてるものだと思ってた。
あんな真っ黒に塗り潰されたものだとは、小さい頃の私じゃ想像もつかなかっただろう。

プロデューサーは、アイドルを守り、導く存在。
何が自分にとって得なのかとか、正直考える時間も惜しいほどどうでもいい。

けれど上には逆らえず、救いを求める手を振り払う自分。

はたから見たら努力も何もしているように見えない、無表情でただただ走り続ける自分を、心底殺したくなった。

「あ、後ろ、危ないっすよ」

そんな言葉と共に突然腕をぐいっと引っ張られ、重心が前へとずれる。

何が危ないんだと振り向けば、そこには日和がいた。

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