貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ24)

今日:13 hit、昨日:9 hit、合計:73,571 hit

_72 ページ24

－You Side－

「あれ、敬人……なんでここに？」

夏休みに入った頃。

長期休みだろうが猛暑だろうが、学院に行かなければならないことは変わらず。

一先ず、荷物を置きに行こうと3年のフロアへ向かえば、A組の教室でひとり着々と事務仕事をしている敬人がいた。

「Aか。おはよう」

『ん、おはよ～』

質問の答えは返してくれないのか、と思いつつもA組の教室へ入る。

敬人が座っている席の前のイスを引き、向かい合うようにそこに座った。

『あ、もしかして部外者が見たらダメなヤツ？』

「いや、構わん。

そもそも機密書類の整理をこんな所でする訳が無いだろう」

『……ですね』

相変わらず塩だなぁ、私の幼なじみは。
最後の一言は絶対余計だったと思うんだけど。

「……暇なのか」

数秒間だけ無言の空間に包まれていると、先に口を開いたのは敬人。
そうとは言っても、書類から目は離れてない。

『暇ってわけじゃないよ。

……今話しかけてもいい？』

「あぁ」

あれ、断られるかと思ったのに。
嬉しいことは嬉しいのだけれど、予想外で少し驚いた。

『……いや、仕事はしたまんまで大丈夫だよ？？』

丁度いいところまで書き終わったのか、ペンを置いて「おまたせ」とでも言うようにこちらを見る敬人。

最近は予想外なことばかりで、動揺を隠すのが下手になったような。

「どうせ英智の話なのだろう？」

『まぁ……そうなんだけど』

“どうせ” って酷いな？？今回は割と今までで1番深刻な悩みなのに。
実際、言い返しようがないのが妙に突っかかるけれど。

「人の悩み事は真摯に受け止め、自身の言葉で精一杯助言すべきだろう。

……大切な幼馴染なら尚更だな」

『そんなの初めて聞いたんだけど……！
しかも今サラッと “大切な” って言ったね！？』

今まで悩み聞いてもらった時は真摯に受け止めてくれなかったのに、とは言わないけど……。
いざ言われてみると思ったより嬉しいな、これ。

「お前は違うのか？」

『ううん違くない違くない。
ほんとそういうとこだね敬人……』

「何がだ」

うーん、流石に言葉が足りなかったか。全く理解してないみたい。

例え大切だと思われていたにしても、実際そう伝えられたことは無かったから、結構むず痒いなぁ。

「意味分からんことを言ってないで、とっとと本題に入れ」

『あっ、はーい』

.