通称「妖刀一家」 ページ14
NOside
「ちっ……最悪。無駄な殺生はペナルティにしてたのに、やっちゃった。」
パソコンの青白い光の前に、立ち尽くすAの顔は不機嫌の色に染まっていた。
微かに付いた血痕に、ちらりと目を向け、はぁと落ち込んだように重い溜息を吐く。
「まさか無駄足だったとは……こっちはわざわざ明日のテスト捨てて来たって言うのに。困ったもんだわ。」
やれやれ、と頭を左右に振り、パソコンの前に置いてある紙を手に取る。そこに書き込まれていたのは、数字の羅列。
解読するのに、5時間以上もかかったその苦労が無駄だったことが予想以上にショックだった。
(ちぇっ、こんなことなら最初からプロに頼めばよかった。)
と思うが、すぐにそれは違うと否定する。
(もし、私がプロに仕事を頼んでいたら、折原に嗅ぎつけられてた。)
(今の私じゃ、あいつほどの影響力はない。自分でやるしかなかった。)
仕方ないと気持ちをリセットし、Aはパソコンの画面に表示された日記らしきものを読み上げる。
「日付は、5年前……?文字化けしてるから読めないんだけど『被験体が暴走、逃走して以前行方不明。』って、行方不明なわけ?」
日付は、恐らく5年前。最終的に書き込まれたのは、そんな一文だけだった。何の手がかりにもなりゃしない。
(【5年前 行方不明】っと。)
落胆しながら、すっと携帯を取り出し、検索をかけてみるが反応するようなものはなし。
「折角、罪歌の模造品って、一番罪歌に近いやつが手に入ると思ったのに。最初からとか無理ゲーなの?」
折原臨也を潰す機会をまるまると逃してしまった。妖刀さえ手に入れられれば、折原臨也を更正させてさっさと池袋から消えてもらえると思っていたのに。
(博愛主義者とは合わないんだよ………。ってか、あれは博愛主義っていうより人間だけに対する博愛だけどね。)
(ま、収穫はあっただけでマシか。そろそろ帰らないと警察は踏み込めないと思うけど、裏方の人達がいるし。)
キラリと手の中で輝く欠片を入れた瓶を、特注のアタッシュケースの中に入れて閉じる。
・・・・・・・
模造品の模造品とは言え、使えるには使える。
「ヒーローはエコを推奨しなきゃいけないからね。」
利用価値があるなら、ゴミでも
ヒーローは完全なるいい子でなければいけないのだから。
「再利用、大事!」
ラッキーアイテム
シズちゃんのサングラス
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もわぁ@ヒーロー(プロフ) - 木戸 凛々さん» コメントありがとうございます!お久しぶりですね、凛々さん!ご無沙汰しておりました^o^頑張るのでよろしくお願いします (2016年7月20日 11時) (レス) id: 8abe313fb1 (このIDを非表示/違反報告)
木戸 凛々(プロフ) - うわぁぁぁ!!!お久しぶりです!!やったぁ!!またヒーローが見れるんですね!!!楽しみにしてます!!コメント遅くなり申し訳ないです!、 (2016年7月19日 20時) (レス) id: 3f020bed75 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - あああ!ここに新しい池袋シリーズが!ありがとうございますううう!!! (2016年7月8日 6時) (レス) id: 687fe9952a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネリエル@リリス | 作成日時:2016年7月3日 20時