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広々とした大広場を抜け、間取り図どおりに歩いていくと、思った通り地下室への階段を見つけた。
そこを下ると、窓がなく、一層空気が淀んでいるように感じる。
「ややっ。ここに沢山お酒が…」
どうやら…ワインの貯蔵庫の部屋まであるらしい。
「すっごい古い年代物だね…。おっといけない」
魔がさしてしまったよと篠原は頭をかいた。
そのまま、まっすぐ歩いていくと、やがて小部屋もなくなり、赤いレンガの壁だけが目立つようになってきた。
景色は、いつまで経っても変わらない。
少し飽き飽きしてきた、その時だった。
「止まれ!」
強い篠原の制しの声に、全員がその足を止めた。ゴクリ、と誰かが唾を呑み込む。
そこには、壁があった。
何回も見たことがある、ただの壁“だった”もの。
「Rc細胞壁…」
グネグネと、赤黒い物体が地をはっている。肉を探し求めているのだ。
「なんか見たことありますね〜」
什造は、ポヨンポヨヨンと赫子を手でつんつんしている。
「篠原特等、これは?」
亜門が聞くと、即座に篠原は講義を始めた。さすが元教官である。
「Aの言った通り、これは、Rc細胞壁。__通称、肉の壁だよ。赫子に反応して、展開する。クインケと似た仕組みらしいんだけど、喰種が開発したものだね。24区ではお馴染みかな」
アキラはそれを聞いて、うぅんと首を傾げる。
「…どうしてこれが展開していた?赫子に対して反応するのでしょう?」
ここでAが地下での経験を語り始める。
「クインケでも反応した気がします。…かなり接近しないと。触れるくらいでないとだめだった気がします」
24区では、ちょっと休憩といって、壁にもたれかかっていると、危険に晒されかねないのだ。
「鈴屋、さっきナイフ投げたか?」
亜門が聞くと、什造は胸を張って答えた。
「ナゲテマセン!」
ここで、全員が顔を見合わせる。
「…肉壁が私達が来る前に反応して展開していた。つまりは、
導き出される答は一つ。
「「私達の前に、誰かが来ている」」
什造が頭の上からはてなマークを五つぐらい出しているがこの際放っておくことにする。
「しかも、喰種だ。血液の痕跡がないから、戦闘がおこったという訳では…」
アキラがぶつぶつと分析している。
「見てくださーい!!」
什造の響く声が遠くから少しくぐもって聞こえてくる。
どうやら先行されてしまったらしい。
____Aは、慌てて後を追った。
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アリス - シロナとクロナって書いてありますけど、ナシロとクロナじゃないですか??(・_・;? (2018年11月9日 16時) (レス) id: 9ad0b945de (このIDを非表示/違反報告)
YUUto1005 - 篠原さんの財布がー (2018年8月14日 9時) (携帯から) (レス) id: 9e44ee148d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アイスゥ | 作成日時:2018年3月27日 12時