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そして、その夜。
一同は、20区のとある居酒屋へ来ていた。
七人は奥の座敷へと案内された。
「あれ、足の所が凹んでるです〜」
什造は掘りごたつの存在を知らなかったらしい。
それぞれが着ていた上着を脱ぎ、メニューを見始める。
「うどんにするか…」
アキラがボソリと呟く。
同じくきつねうどんを食べようとしていた滝沢は、ギクリとし、
「俺はこの魚定食でいいか…」
と呟いた。
亜門は豪快に生姜焼き定食、法寺は蕎麦、篠原はすき焼きにするらしい。
残りはAと什造だけだ。
「あー、どうしよう…。決めた!おかゆにしよう」
(えっ。歓迎会なんだからもっと高価なもの頼めばいいのに…)
篠原はそう思ったが本人が満足そうにしているので、放って置くことにした。
「あと什造くんだけですね…」
法寺がちらっと掘りごたつの中をみやる。
「ハローです」
什造が言う。
「hello!」
法寺のまさかの返しに滝沢は唖然とした。
「鈴屋くん、何がいいですか?」
Aが気を利かせて什造に聞いた。
「えーとですね、なんかチーズが食べたい気分です」
「…チーズはないです」
篠原はそろそろ出てこいと、什造の両手を掴み引っ張り出そうとする。
「出てこーい」
什造の必至の抵抗で、机がガタガタと揺れ、お冷の水がこぼれそうになる。
篠原は、それを見て、諦めたのか手を離し、什造の目線に合わせて優しく聞いた。
「じゃあ、二番目に何が食べたい気分?」
(和食であってくれよ…?)
篠原の思いが通じたのか、什造は、
「唐揚げですかねぇ…」
と、答えた。
「よし決定!唐揚げ定食ね!」
「ハーイ」
「さて、皆決まったね。で………」
篠原はメニューを閉じ、意味深に笑う。
亜門はとてつもなく嫌な予感がした。
「ビールはどうする?」
やはり酒の話である。
「やめましょう」
亜門は即答する。まわりの皆を守るためだ。致し方ないことだろう。
「え…一杯だけだから」
久々の宴会だ。ハメを外したい気持ちも分からなくともないが…
「そう言って新人30人を投げ飛ばしたあの夜を忘れてませんよ私は」
あれは凄かった。人間のやることではない。
「しょうがない、やめとくか…」
篠原はがっかりと肩を落として諦め店員さんを呼んだ。
「ちょっと狂った篠原さん見てみたいです」
什造は飽きたのかこたつから出ていた。
「…地獄だぞ」
亜門はそう、呟いた。
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アリス - シロナとクロナって書いてありますけど、ナシロとクロナじゃないですか??(・_・;? (2018年11月9日 16時) (レス) id: 9ad0b945de (このIDを非表示/違反報告)
YUUto1005 - 篠原さんの財布がー (2018年8月14日 9時) (携帯から) (レス) id: 9e44ee148d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アイスゥ | 作成日時:2018年3月27日 12時