目と目があえば恋に落ちる【あんスタ】

18.好かれてるんだか何なんだか ページ18

「Aち"ゃ"ん"！！！！！」
「グェッ」

青葉さんに連れられ、夢ノ咲学院の校門を通過してコンマ0.2秒くらい。前方からものすごいタックルをかまされ、血反吐を吐きかける。

逃げ出した闘牛か何かかと思って視線を下げれば、そこには目に涙を浮かべ、可愛らしい顔でこちらを見上げる幼馴染の姿があった。

いや痛えんよ。前述の通り我が幼馴染は力加減というものを知らない。ぎゅむむとホールドされている腹も痛いが、内蔵物までミシミシと聞いたことのない音を鳴らしている。…いや無理無理無理、そろそろ腹の中のモノ全部出る！なんて無我夢中で叫べば、ほんの少しだけ彼の腕の力が緩んだ。

よく耐えたな私。
そして久し振りだな日和くん。


「もうっ！どこ行ってたの！？突然いなくならないでよ心配してたんだからねっ！！」
「いやお前がいなくなったんだが？？」

えんえんと泣きながら、私のお腹に顔を埋めるのはもはやテンプレらしい。
こりゃ泣きやんだ頃には、私の腹に日和くんの顔の魚拓がとれるな〜とか呑気に考えていれば、少し離れたところで青葉さんがアワアワしていた。あらカワイイ〜！


「…あっ！！ちょっとつむぎくん！Aちゃんは僕のなんだからね！！必要以上に近付かないで欲しいねっ！！」
「突如としていなくなった日和くんの代わりに、ここまで案内してもらったんだけども？」
「とにかくダメなものはダメなの！！」
「ここ数日のキミ、本当に理不尽極まりないな…」


本当にすみません、と日和くんの代わりに深々と頭を下げれば、青葉さんは「大丈夫ですから！」と少し慌てた様子だ。
それからすぐ、彼はニコニコと微笑んで、「じゃあ俺はこれで失礼しますね〜」と校舎の中に去っていってしまった。

あぁ、愛しの青葉さん………ここに来るまでに連絡先は交換したし、きっとまた会えるだろう。てか絶対会いに行こう。
最早私の日々の癒やしは乱さんと青葉さんになりつつある。



「…あれ、そういや漣くんは？」

はぐれたままそれきりなんだけど………


少し心配になってそう尋ねれば、未だ私の腰に手を回している日和くんが怪訝そうに眉を下げる。


「ジュンくんならもうレッスン室にいるけどね？」


…はい？


「…もしかして、二人して私のこと放置して他校生とレッスン始めてたの！！？」
「え？うん。だってAちゃん中々来ないから…」
「いや道わからなかったからね！！！」

なんだよ！！！好かれてる割に扱い雑だよな！！！！

19.とりっくすたあ→←17.見知らぬ街の案内人

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す