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先輩達に挨拶をして、体育館を出た。
『インターハイさ、勝ち上がれば桐皇と当たるよね』
「青峰っちと桃っちはやっかいすぎる」
『…会場で会ったら、ちゃんと話せるかな』
「大丈夫っスよ、仲悪いわけじゃないんだし」
『あっちは私の事嫌いかもよ?』
「それはないっスわ、俺じゃないんだし」
確かに、と笑ったその顔になんとなく面影を感じて。
確かめる術は1つ。
「Aっちって、小学校低学年くらいの時何して遊んでたんスか?」
『急に何、どういうこと?』
「俺の親戚に小学生の女の子いるんスけど、何して遊んだらいいかわかんなくて」
俺がついた嘘にしては随分できた嘘だと思う。
親戚に女の子なんていない。…嘘をついたことは、少し後ろめたいけど。
『…ごめん、私さ、小4より前の記憶がなくて』
「ッ!」
『事故に遭ったんだ、小4の夏に。トラックにぶつかっちゃって、その時に記憶喪失になっちゃったみたいで。高校生になった今でも私、思い出せなくて』
……俺の勘は間違っていなかったらしい。
『ごめん、空気重くしちゃって。そのときは苦労したけど、今はもう大丈夫だよ』
「そーなんス、ね」
俺の初恋はAっちで間違いない。
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作者名:愛璃珠 | 作成日時:2021年8月7日 20時