22日目 ページ23
ご飯も食べて薬も飲んだ。
後は熱が下がるのを待つだけ。
ひたすらに寝るだけ。
そう、たったそれだけだった。
なのに、
「え?まふ……?」
"何してるの?"
さっきまで居た布団に再びごろんと寝転ぶ私。
そしてなぜか同じ布団に入ろうとしてくる彼。
ま「A、もう少しそっち詰めて」
"僕入らない"
なぜか一緒になって布団の中に侵入してくるまふ。
「いや、え…?まふ作業しなくていいの?」
いつもなら大体この時間帯は、作業部屋にこもるかお仕事をしている。
って言っても、ほとんどまふは1日中作業部屋にこもる事が多い。
何となくまふの一日を分かり出してくる頃。
まふが近くにいる時間帯とそうじゃない時間帯。
今は多分そうじゃない時間帯。
お友達が来るとかそう言った例外は除いて。
だから今日はほんとにおかしい。
いつもと違う。
作業もしてなければお仕事にも出かけてない。
今隣には本物のまふがいる。
……でもなんで?
頭にはてなの文字を浮かべては、不思議にまふの顔をじっと見つめた。
ま「ふっ、なんで今日はいつもと違うの?って?」
不思議そうに感じた私が面白かったのか、隣で寝転がっては1人でクスクスと笑う。
ま「なんで分からないかなぁ〜ほんとに」
「だってまふ……この時間帯いつもいない」
ま「そうだねぇ〜不思議だねぇ、ふふっ」
むっ。また子どもをあやすみたいに笑ってるし。
ほんと悔しい。
また大人の余裕ってやつだ。
まるであたしだけが分かってない。
ほら、今もまた……、
ま「ふぁ〜ぁ、僕もう眠たくなってきちゃった」
Aは?まだ寝ないの?とでも言いたそうなまふの優しい表情。
だから私もつい甘えて聞いちゃうんだ。
「まふも今日はお昼寝するの?」
って。
ボソっと呟いたその言葉には、ちょっとだけの期待を込めてみる。
でもたったそれだけなのに、
ま「うん、そうだよ」
"一緒に寝ようね"
って。
ちゃんとその期待さえもこの人は見透かしてくれる。
「〜〜〜っ、まふ大好き」
大人は正直ずるいと思う。
だけどそんな所もほんとは好きで仕方がない。
ま「ふふっ、僕もAが大好き」
"だから早く治して?
そしたらいっぱいぎゅうってしよ?"
今はこれだけっと言って、優しく体を包み込まれた。
「ん……あったかい」
ま「ふふっ、あったかいね」
そのまま私はまふに抱かれて眠りについた。
ちゅっ。
額と唇にキスを落とされたとは知らずにね。
2354人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いるよ - 最高過ぎました… (2022年12月5日 19時) (レス) id: 7464634473 (このIDを非表示/違反報告)
千華(プロフ) - 未成年だから途中まで!また成人して覚えてたら見に来ます! (2021年5月25日 17時) (レス) id: ff1aa8f056 (このIDを非表示/違反報告)
しふぉ - このお話が好き過ぎてまた見に来てしまいました。 (2021年2月7日 2時) (レス) id: 19d2dfc8bd (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 良かったです。また書いてくれると嬉しいです。 (2020年12月11日 12時) (レス) id: c11f1036fc (このIDを非表示/違反報告)
。。みかん - あの、後日談みたいな成長した主人公ちゃんと歌い手たちの話が欲しいと切実に思いました。もう、、あの、本当、、、好きです。(唐突な告白) (2020年11月29日 21時) (レス) id: 301c148c11 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:羽鳥 | 作成日時:2017年10月23日 3時