【おそ松さん】次男、拾いました。

第37話「まさかの」 ページ47

上から聞こえてくる歌を聞きながら、ふと手首を触るとキラリと光る冷たいもの

前にカラ松が赤面しながら


「こ、これ！！」


ズイッと差し出してきた可愛い箱に入ってた細いバングル

カラ松がなけなしの金でプレゼントしてくれたこれを付けて旅行へ行こうと思う

ちなみに、カラ松は青い石がはめ込まれた金の細長バングルをいつも身につけるようになった

私は仕事してるからつける機会がなくて困ってたから、せっかくだし嵌めてみたらより可愛く見えた

しゃらん、と手首を滑るバングルを撫でて数日間見なくなる地元を最後に見てこようと散歩に出かけた

そしたら


「……」

「……」


十四松が座ってた

我が家の玄関からは少し向こうに、敷地に入るための門みたいなのがある

そこの門の柵のところに、体育座りして座ってた

正直ビビった


「…なにしてんの？」

「カラ松兄さん待ってるの！！」


一体何をするつもりなのか

そしていつからいたのか

そんでもって、旅行行ってからもここに居座るつもりなのか

それは結構困る


「なんで待ってるの？」

「兄さんに謝るの！！

俺、カラ松兄さんと帰りたいから一緒に帰れるまでここにいる！！

それに、俺ね！！

兄さんたちにね！

そんなにカラ松が好きならお前もそっちに行っちまえって…！

お前らなんかもう知らねぇって…

言われ、た、の…

だか、ら、みんな、どっ、か、行って、

俺が、おれ、が、カラ松、兄さんの、こと、連れて、帰、れば、みん、な、帰って、くるって…っ！！」


段々涙ぐむ十四松

口だけが笑っていて、目からはボロボロ涙がこぼれてきた

大方言ったのはおそ松かな？

全く、ニートのくせに変なプライドがあるねぇ

このまま放っておくわけにもいかず、とりあえず家へ入ることにした


「ここにいるのも寒いでしょ？とりあえず入ろ？ね？」


袖の長いパーカーで、未だ流れる涙をごしごし擦る十四松の手を引き、私は玄関へUターンした


「やだったね、よしよし、十四松はみんなと仲良くしたいのにね」


嗚咽を漏らす十四松を撫でてあげれば、アホ毛がピコピコと揺れ動く

一度席を立ち、暖かい蜂蜜ミルクを入れて十四松の前の机に置いた


「飲めそう？」


こくんとゆっくり頷く十四松にコップを渡せば、一気になくなるミルク

そんなに喉が乾いてたのだろうか

そして、入れたばかりの蜂蜜ミルクを飲み干せば当然熱いわけで

舌を火傷して火を吹いてる十四松の口に氷を数個放り込めば、火は収まった

第38話「黄色い捨て犬」→←第36話「夢のチケット」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す