【おそ松さん】次男、拾いました。

第25話「頑張った青」 ページ29

「(なんて修羅場だ…)」


久しぶりに激しく動いたせいでなかなか息切れが収まらない

だが、手にはしっかり戦利品が入った袋が握り締められていた

イ〇ンから出て片手でその袋を持つと、赤くなってる空を見て小走りで車へ駆け寄り、乗り込んで車のキーを差し込み回した
























「…カ、ラ松、兄、さん…？」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あっづ！！」


初めての料理

しかもひとりで

いつも教えてくれるマミーはいない

ご飯の炊き方も、炒め方も、茹で方も全て調べながらなんとか頑張った

ルーの種類だって調べた

そりゃ油を入れすぎて跳ねたのが手に当たったり、包丁で綺麗に野菜を切れなかったり、とにかく難しかった

もちろん、指も怪我した

料理ができるころには、俺の指や腕は絆創膏だらけ

それでもやめなかったのは、きっと誰かのために料理を作るという楽しさに気づいたからなのだろう

自分のためではなく、誰かのため

疲れて帰ってきたAを、少しでもサポートできたら

置かせてもらってる俺はこのくらいしかできないが


「っできた…！！」


クック〇ッドの見本とは少し不格好になってしまったが、これは初めてにしてはなかなか上々じゃないか？

俺特製のカレー、といっても何か工夫してるわけではないのだが


「…ふふ」


こんなに心が暖まるのはいつぶりだろう

冷めないうちに早く帰ってきてくれ、と願いながら使った道具を洗い始めた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ただいまー」


カラ松が家に来てから私個人的に決めたことがある

何個かあるのだが、そのうちの一つは『なるべく残業しない』こと

前に、ふと寂しくなって泣いてしまったカラ松を見て、なるべくひとりにしないようにしようと思ったのだ

それに、カラ松が来てからは家に帰る足取りがとても軽いのだ

前なんか家に帰ってもやることもないし楽しみもない、つまらない生活だったのに

玄関で靴を脱ぐと、明らか私のではない革靴が視界に入る

それを見て無意識に顔がほころぶのを止めることなく、リビングへ向かった


「ただいま」

「…ん、あぁ、おかえり」


机に美味しそうなカレーとサラダをセットして突っ伏して寝ていたカラ松は、おかえりと言ったあと私の顔を見るなりドヤ顔をしてきた

…あぁ、カレーのことか


「美味しそうだね、お腹空いたよ」

「俺もだ！さぁ食べよう！」


2人で手を合わせて、いただきます

お知らせ 読んでおいた方がよろしいかと思います→←第24話「青の緊張」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す