【おそ松さん】次男、拾いました。

第22話「青のチャレンジ」 ページ26

…さて、Aも仕事に行ったし何をしようか

とりあえず家事をしよう、手伝い程度しかしたことないが試行錯誤しながら何とか慣れてくしかないな

風呂掃除にトイレ掃除…あと掃除機かけたり洗濯物干したり…

やること案外あるな、家事がひと段落したら昼食食べて夕飯の買い物もしないとだ

頭の中で今日やることを練りつつ、新しいことを始めることにウキウキしながら俺はこたつから這い出た

それにしても、思ったより家事は重労働だ

俺にとっては何もかも初めてで、洗剤の量を間違えたり柔軟剤入れるはずなのに漂白剤入れてたり

風呂掃除も泡で転びそうになったし、掃除機もコンセントを繋ぐコードがぐちゃぐちゃに絡まったり

ぜぇぜぇしながらひと段落終えると、丁度お昼を過ぎた時間だった


「(腹減ったな…)」


さっきまで夢中で気づかなかった空腹

一気にお腹が減って色々なものを食べたくなってくる

この空腹じゃ作るのも辛いくらいなので、着替えて外食行こうとすることにした

幸いAからもらったお金と自分の少しの所持金のおかげで普通のものは食えそうだ

青いつなぎを着て出掛ければ、数日ぶりの外の空気

めいっぱい吸うと、自身の五人の分身に見つからぬよう隣町まで運転した

実は高3のときに既に免許は取得済

Aの親が残していったという車を借りられることになった

なぜ残していったのか、それは教えてくれなかったが誰だって知られたくないことはある

悲しそうに笑うAを見て、俺は聞くのをやめた

黒い艶のある普通車に乗り込めば、座席も革製だった

何気に高い車なのではないか…？

そう感じた俺は、久しぶりの運転ということもあり壊したらヤバイ車だということもあり、手が震えていた

車についてたナビで適当な店を指定して出発

この車は俺の好きにしていいらしく、今度金が入ったらCDでも買おうと思う

ラジオを聞き流しながら暖房をつけつつ走ると、車内はラジオの音しかしない

あまりの静かさに、あぁ本当に家出してきたんだなと改めて実感する

いつもならアイツらがうるさく騒いでお互いふざけて注意しあったりしてるのに

何となく、あの5人がニャンコ事件の時に俺に向けていた背中を思い出してしまう

そうすると、俺が本当にひとりな気がして


【プルルル】


思わずAに電話をかけた

ひとりが怖くて、寂しくて

独りじゃないと感じたくて


『もっしもーし、カラ松ー？』

「っ…」


耳元で聞こえる優しい声に、俺は酷く安心した

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