【おそ松さん】次男、拾いました。

第2話「青い捨て犬」 ページ3

家のドアを開けて、足でストーブをつけてソファに男性を降ろす

タオルをお湯であたためて、着ていたスーツの上着を脱いで腕をまくる


「し、失礼しまぁす…」


体を拭くために服をゆっくり脱がせていく

上半身はクリアしたのだが…下半身、どうしよう

さすがに勝手には気が引けるし、かといって誰かに手伝ってもらうにも誰にだよって話だし

ズボン脱がせたとしてもパンツは？

それは…そっとしておこう…

ごめんなさいごめんなさい、と謝りながらズボンを降ろす

そして、サササッと体を拭く

傷や怪我は…ないな

よかった、凍傷とかになってなくて

起きたらまず暖かいものを少し食べさせてお風呂に入ってもらわねば

もし目覚めたとして、このまま帰すと私が心配だ

雪まみれのこの青いパーカーとズボンは後で雪を完全に払わないと

替えの服は、男性には申し訳ないが私のスウェットで我慢してもらおう

スウェットを着せると、二階の客室のベッドに乗せる

そして、毛布を何枚か追加で持ってきて大布団を掛けあったかくする

ストーブも引っ張り出してきたから、部屋も暖かくなればより暖かくなってくれるはず

あとは起きるのを待つのみ

なんか鍋食べてる場合じゃないかもなぁ

明日でいっか、丁度3連休もらってるし

今日はレトルトカレーかな

あ、おかゆ作っとかないと


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あれから丸一日経った

男性はまだ目覚めない

けど、寝顔は運んできた時より穏やかで安心した

よかった


「…っ」

「あ」


まぶたを震わせて起きた男性は、目に入って来る光に目を細めて腕で光を遮る

そして何秒か経つとガバッ！と勢いよく起き上がった


「おはようございます」

「え、あ…おはよう、ございます…」


私を見るなり驚いて辺りをキョロキョロ見回す

そりゃそうだよね、知らないところに知らない人がいるんだもんね


「あなた路地裏で倒れてましたから、うちで看病させていただきました」

「こ、ここは…？」

「私の家の客室です、具合はどうですか？」

「大丈夫、です…」


大丈夫なら安心だ

だが、まずはやることがある


「お礼や詳しい話はあとです、体を温める必要があるので少しでもいいんです、食べてください。お風呂沸かしてきますね」


枕元の机におぼんとお粥を置くと、お風呂を入れに行った

最初は負担の少ないぬるま湯で、少しずつ暖かくしていくのだ

そうすれば体がびっくりせず、芯から温まる

さて、忙しいぞ

第3話「青の事情」→←第1話「雪に紛れていた青」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す