【おそ松さん】次男、拾いました。

第16話「ルール」 ページ19

「…っ…らま…カラ松！」

「！！」


ハッとしたように目を見開き、慌てて返事をするカラ松を見て少し心が痛む

さっきまで生気のない死んだ目をしていた

大方、兄弟たちのことでも思い出してたのだろう


「ねぇカラ松、ちょっとルール作ろうか」

「ルール？」


たった3日しか一緒に過ごしてないが、カラ松に対して分かったことが何個かある

ひとつは、あまり人に頼らない

ふたつめ、ひとりで抱え込む

みっつめ、辛いことや悲しいことを人に話さない

それをずーっと溜めて溜めて溜めまくって…爆発してしまうのだ

これは問題だということで、ルールを作ることにした


「そう、我が家のルールですよん
1,ひとりで悩まない
2,何かあったら必ず報告･連絡･相談
3,悲しいこととかがあったら我慢しない
4,隠し事はナシ！ちゃんと全部話すこと
5,自分はひとりだ、なんて思わないこと！ちゃんと私がいるから大丈夫！」

「！」

「で、最後！
6,これらを必ず守ること！守らなかったら処す！！」


バァーン！とルールの書いた紙を見せたら、ポカンと口を開けて呆然としていた

…あれ、なにこの沈黙


「…ふふ、いいルールだな」


ふにゃりと少し泣きそうな笑顔を見せてくれたカラ松

よかった、変なリアクションされないで


「A、ありがとう」

「あら何のことかしら〜」


さっそく仕事として皿洗いをしてくれてるカラ松は、ずっとニコニコしていた

心の傷は、下手したら一生癒えない

だから、せめて少しでも楽になってくれればと思ってこれを作った

何故ここまでするのか、私もあまりよくわからない

ただ、カラ松がずっとひとりで苦しんでたのを知って、何となく私に似ていたからこんなに世話を焼くのかもしれない

私には、カラ松みたいに助けてくれるような人がいなかったから

カラ松には、そんな思いさせたくないし

そんなことを、青いエプロンをした背中を見ながら考えてた


「A、この皿はどこに置けばいい？」

「あ、それ食器棚の二段目の棚のところー」


あぁそれと、カラ松ってなんか母性本能くすぐるというか…

なんか、可愛いから余計に世話したくなるのかも


「終わった…！」

「お疲れ様、はいコレ」


カラ松に千円札を渡すと、こんなにいらない！と遠慮し始めた

お互い粘ったものの、らちがあかずエプロンのポケットにねじ込んで強制終了させ


「ルールに『カラ松は遠慮しないこと』って追加しとくわ」

「！？」


頭をわしゃわしゃ撫でてあげた

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