ゝ ページ17
鬼を狩るために産まれてきたひとだって、他の皆さんが話しているのを聞いたの。
余計なものを、まとわりつくものを、
研ぎ澄まされた、一振の刀のようなひと。薄くて鋭くて軽くて、どこまでもゆく、遠い人だって。誰も彼もが言っていた。
その刃で、その言葉、その態度で、なにもかもを切り捨てる──
Aさんの前で、私はちいさなおんなのこみたいだった。
あんなに自慢だった力も、鍛えた速さも。まるで大人と子どもみたいだった。あの人は少しも動揺しなかった。あの人に、ひとつも通用しなかった。
いつもは、昔は、あんなに普通の女の子みたいになりたいって思ったのに。
彼女の前では、自分が凡人であることがイヤだった。
だから私、怖くて震えてた。
下らないって……たった一言、そう言われてしまうことが。
「何故」
「えっ」
それは切り返すような口ぶりだった。余剰がなくて、いかにも“らしい”。あの人は私を見もしないで手合わせ後の柔軟をしている(私もそれに倣っている)。
詰問じみた迫力に、私はもじもじして、顔を赤らめた。威厳があってステキだわ。
「あ、……な、なんでって。だって私、こんな……」
「自己嫌悪か」
「そんなんじゃありませんっ」
違う、とハッキリ言うことができた。
私はそれが嬉しいの。
この髪の毛も、力も、容姿も性格も。恥ずかしく思ったことが確かにあった。でも今は違う。胸を張って、声を上げて。
あんなにステキな家族に愛されたのよ。お館様に見つけていただいた。師範にだって、認めてもらったわ。
私はそんな私が大好きなの。
今はもう、分かってる。間違えたりしない。
「……でも、」
でも、みんながそうは思ってくれるわけではない。
あなたと比べると、私は……
「ならそれでいいだろう」
パッと顔を上げる。
斜め後ろから見る、冷えたようにキンと美しい横顔の、何でもないというような表情。
「お前自身のことなら、お前の考えることがすべてだ」
「そ、……そんな、勝手な感じで……？」
「勝手は強者の特権だ。誰が何を言おうが黙らせろ」
「黙っ……」
「そのための方法を教えてやる」
──ステキな人。強い人。
私に、戦い方を教えてくれたひと。
だから私、いいの。あなたがどうなっていても、私がいいと思うから。誰がなんて言ったって。
ただ、あなたとまた会えたことが嬉しいの。
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アホ毛50%(プロフ) - 玲さん» マジで有難いです……やる気出ます……がんばります……(ToT) (2022年10月7日 20時) (
レス) id: a42aa73c2c (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - どうかお身体にはお気をつけてご無理はせずに更新、活動していただけましたらと思います……！ゆっくりのんびり待っております。想像以上に長くなってしまいすみません……！！長文乱文等失礼しました。応援しております……！ (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - 喉からどこかの鳥の声でも発してしまいそうでした。続編……書いてくださる…………？夢でも見ているようです。この幸せを沼鬼に負けないくらいの気持ちと勢いを持ってギリギリ噛み締めます。(？)(申し訳ありません次で終わります) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - もう超大好き！！！となっていたというか今も勿論のことなっています書いてくださりありがとうございます。 そうして今もまた読み直していたら、文章が変わっている……！？と気付き更新日時を確認しましてア゜〜〜！！！と大歓喜のあまり(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - コメント失礼致します。何回も何回も読み直し、そのたびこの作品は本当に面白いなあ、と思い、読了すると大きすぎる満足感と言い表し難いほどの感動が一気に込み上げてきまして、その感覚は頻繁に感じるものではなかったものですから、本当にこの作品はもう……(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
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