22滴 ページ23
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「ほ……うに……か?」
『ぇ?』
「本当にないのか?」
あぁ、もうやめてよ。そんな泣きそうな顔で聞かれたら
『っ、もっと、もっと、レオ達といたかったっ……!』
我慢できなくなるじゃん。
私は弾かれたように言葉を溢れさせる。
『だけどっ、それは叶わないからっ……!』
ボロボロと目から零れる涙を手で拭ってもそれは止まらない。すると
『れ、お……』
ふわり、レオが私を優しく包み込むように抱きしめる。トクトクと聞こえてくる心臓の音が私を落ち着かせた。
『れお、私いやだよ』
私はポツリ、ポツリと言葉を零す。そんな私の頭をずっと撫でてくれるレオ。今だけはその優しさに溺れたかった。
『ねぇレオ、私の言った約束覚えてる?』
暫くして、私は涙も止まり、身体全体が薄く消えかかったときレオにそう話しかける。
「覚えてるぞ!」
『約束守ってね?』
「……」
切なそうな表情をして頷くレオに私は、本当は忘れないで、と言いたくなるのを飲み込んだ。だって私を忘れなかったらレオはきっと幸せになれないから。
『レオ、今晩は月が綺麗ですね』
貴方はこの意味を知ってるかな?
知らなくてもいい。だけど最後にこれだけは伝えたかったの。そう思いながら目を瞑った。すると
「月は最初から綺麗だったぞ」
私はレオの言葉に目を見開きレオの方を見ると、レオは優しく笑いこちらを見ていた。そんなレオに私は嬉しさと悲しさで泣きながらも精一杯の笑顔を見せた。
『レオっ!ありがとう!』
そう言い残して私は静かに消えたのだった。
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作者名:ぽぽ | 作成日時:2021年1月30日 12時