二人きり ページ8
リビングにはテレビからの声だけが響く。そんな部屋には私とレオくんの二人だけ。会話は一切ない。
気まづい。気まづすぎる……
いや、それより何故私とレオくんが同じソファーに座っているのかが分からない。ううん、同じ空間で息を吸っていることさえも疑問に思う。
だってレオくんはいつも手を伸ばしても決して届かない、そんな存在なのだから。なのに、隣にいて同じ空間で同じ空気を吸っているなんてありえない。
そんな悶々と考える私の方を見ないで、レオくんはノートと向き合っていた。
そんな横顔さえ綺麗とか聞いてない。視界の暴力じゃん。
なんて巫山戯ている場合じゃなくて本当にこの状況をどうにかしなければいけない。こんな気まづいままなんて私が死んでしまうから。
『あ、の』
勇気を振り絞って口から出てきた声は震えていて裏返っていて最悪だった。
けれど、声量は中々だったからきっとレオくんに届いているだろうと思い彼の方に視線を向けるが
｢……｣
レオくんはこちらを見る様子もなく先程と変わらずノートと向き合っていた。
せっかく振り絞った声はどうやら彼には届かなかったらしい。
私は恥ずかしさと悲しさで泣きたくなる。
もしかして、無視された？でもレオくんはそんなことしない。だけど……
なんて考えが私の頭には浮かんでそれを振り払うの繰り返し。
｢なぁ｣
そんな私に話しかけたのはレオくんだった。もしかして、声届いてたのかな……？いや、それよりもレオくんに話しかけられた私は今日が命日だということを確信した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 328人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りむ。 - こちらこそ、すてきなさくひんありがとうございました！！ (2021年3月25日 8時) (
レス) id: 76d2fea91c (このIDを非表示/違反報告)
碧生 - ぽぽ様の作品をいつも拝見させて頂いてます。ここがぽぽ様の憩いの場、ストレス発散出来る場所となるように願ってます。あと、いつも楽しく作品を見させてもらってます。これからも執筆活動頑張ってください！私はぽぽ様の味方です！ (2021年2月23日 11時) (レス) id: 7ffc4172b1 (このIDを非表示/違反報告)
詩帆(プロフ) - ぽぽさんは、強いと思います。きちんと向き合えるから。だから負けないでください。! (2021年2月21日 18時) (レス) id: 46695abdda (このIDを非表示/違反報告)
詩帆(プロフ) - 離婚してからも、母は私達子供とは何度か会いましたが2年前から全く会っていません。愛想を尽かしたのでしょうか… (2021年2月21日 18時) (レス) id: 46695abdda (このIDを非表示/違反報告)
詩帆(プロフ) - けど、お父さんは私達子供が好きだったみたいで… 挙句の果てには、母は浮気しました。 (2021年2月21日 18時) (レス) id: 46695abdda (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽぽ | 作成日時：2021年1月26日 0時
