5. 一つの恋物語 ページ5
「39,40 いたちごっこ」の続き
「女の人なら何でもよかったんじゃないんですか?」
先ほどまで師匠と喧嘩をしていた、大きな金棒を持った鬼女が帰ったのを見送ってから桃太郎は、遠慮もない顔で、両方の頬に咲いた真っ赤な紅葉をさすっている師匠に尋ねた。
「まあ、あいつ以外ならね......」
「なら俺がもし女だったとしてもですか?」
「うん。女の子なら」
痛々しい紅葉を見せながら頷く白澤は、それが当然とでも言っているかのようだった。
「さいですか」
桃太郎はそんな師匠の態度に、どこまで女好きなんだ、と心の中で毒づきながら作業を再開させた。
椅子に座り、何かを考えるようにしていた白澤は、突然何か閃いたのか、驚いたような表情を見せ、弟子に向き直りこう言った。
「もしかして桃タロー君......僕のこと好きなの?」
「んな訳ねーだろ!」
白澤のせいで忙しくなっていたこともあってか、桃太郎は怒鳴る様に言う。
その気迫に負けた彼は、冗談だったのに、とたじろいだ。
「ん? ちょっと待ってください」
今度は桃太郎が何か思いついたように手を止めて顔を上げた。
「何?」
「その、Aさん以外の女の人ならいいって、もしかして......遊ぶのだったらってことですか?」
「え?」
「もしかして、Aさんのことは本気でっ」
そこまで言うと、白澤は慌てて桃太郎の口を両手で塞いだ。
彼の顔は一目で分かるくらいに真っ赤だ。
「んんー!!」
「ああ、ごめんっ」
桃太郎が苦しそうにもがくと、すぐに手を放した。
「そうなんすね」
「うん......」
「ならどうしていつもの様にストレートに言わないんですか」
桃太郎のその言葉に白澤は、珍しくしょぼんとした。
「僕が恋煩いなんて、彼女に言ったら、彼女笑うだろ?」
そして自傷的な笑みを浮かべた。
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ラーミン。(プロフ) - 手品玉さん» ありがとうございます!期待にお応えできるように努力していきます! (2015年8月10日 17時) (レス) id: 99f7bb834b (このIDを非表示/違反報告)
手品玉(プロフ) - ラーミン。さん» それでも待ってます!頑張ってください! (2015年8月10日 13時) (レス) id: bbcea6223d (このIDを非表示/違反報告)
ラーミン。(プロフ) - 手品玉さん» 返事が遅れてしまい、すみません…。そうですね!それを考えていませんでした!これからはそうします!ですが、ネタがあまり思いつかないので、できるだけ更新しますが、毎日とはいかないかもしれません… (2015年8月10日 0時) (レス) id: 99f7bb834b (このIDを非表示/違反報告)
手品玉(プロフ) - ラーミン。さん» しばらく更新しないんですか...余計なお世話ですが、占ツクのアプリはお使いにならないのですか? (2015年8月4日 10時) (レス) id: bbcea6223d (このIDを非表示/違反報告)
ラーミン。(プロフ) - 手品玉さん» 前作でも今作でもコメントしてくださり、ありがとうございます!そうですか…!ではこれからもそう言っていただけるように頑張っていきます!! (2015年6月6日 23時) (レス) id: 9562c1173e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラーミン | 作成日時:2015年3月29日 1時