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「いやだって、僕一人だし、人間一人じゃやってけないよ。それに、一緒にいてくれるなら君の願いを一つだけ叶えるよ」


「どういうことだ……」


胡散臭そうに僕を見るテゾーロ。ご飯を食べるのを一旦中断した(とういか食べ終わった)


「そのまんまの意味さ。
僕はカナカナの実を食べた。何でも叶えることが出来る。ただ一つ欠点があるとすれば、死んでいる人を蘇らせるとか一線を超えることは出来ないこと、かな。」


「例えば……」と手をテーブルの上に置いて右に動かす。そこからホカホカのアップルパイが出てきた。


「はいこれ。デザートのアップルパイ。」


未だ睨み続けるテゾーロに警戒態勢を解いてもらうために必死に笑顔を作った。「どうも」と言うと意外にもちゃんと完食してくれた。



「で、君の願いは何?」


少し考えてからテゾーロが言った。


「ということは、お前はなんでも叶えてくれるのか」


「お前じゃなくてAだよ」と言ってから「そりゃあもちろん」と付け足した。テゾーロは意を決したように手を差し出してきた。


「わかった。死ぬまでお前のそばにいる代わり、俺にその能力(チカラ)を貸してくれ。」


「え?

能力を貸すだけでいいの?」


「ああ」



「え、いや、いいけどさ。なんて言うか、君欲望ないんだね。

僕が会ってきた人達はほとんど”永遠の命〜”とか”一生遊びたい〜”とかだったよ。



「でも、能力を貸すって言っても何をすればいいの?」


「それは……明日話す。」



あ、眠いだこの子。わかりやすい。



「君の部屋はこっちだよ。毎日掃除と換気は忘れないようにしてるんだけど、何分ひとりだからたまにサボっちゃうんだ。
ホコリっぽかったら僕の部屋を使って」


「いや、ありがとう」


初めてお礼言われた気がする。何故か感動。


「じゃ明日の朝にまた。おやすみ」

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作者名:ゆき | 作成日時:2018年6月17日 2時

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