密室、暗闇、二人きり。【そ.ら.る】 (ページ6)

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「…そらるさん」

「はい、そらるさんです」

「…そらるさん、って、歌い手さんの」

「そうです」

「……本物ですかって聞きたいんですけど、何か……歌い手さんだって聞いたら貴方様のその声も納得しました」

「どういう意味なんですか」

クスクス笑うイケメ…そらるさん。

ああ、どうしよう。心臓が喧しい。男の人の耐性なんて私には無いもの。そもそもこの状況がおかしいんだってば。

…あんなにあの2人そらるさん大好きだったんだから、この状況は恨まれるパターンだな。内緒にしとこ。

「高校の時の友人が、そらるさんの大ファンで。お名前、存じ上げてますよ」

「…店員さん、失礼なんですが、お歳は…？」

「今大学一年生です」

「えっ」

そらるさんは驚いたように声を上げた。顔も驚いてるのかな、見たいな。くそ、見えない暗い。

今気づいたけど、せっかくイケメンがこんなに間近にいるのに顔見えないやないかい。ふざけんな停電しんでしまえ。

というか、ん？驚いてるってことは、私、大学生に見えないって事だろうか。やだ、高校生に見えますか？若く見えますか？やーんありがとうございます。

「……20歳は越えてるかと思ってた」

「………え？！」

それって老けてるってことですか？！とショック丸出しで叫ぶと、そらるさんは｢違う違う｣と少し笑いながら言った。

あ、今の笑い方かっこよかった。

「大人びてるなって」

「…そうですかね」

「落ち着いてるっていうか。女子大生ってもっときゃぴきゃぴしてると思ってた」

「きゃぴきゃぴですか」

……きゃぴきゃぴを棒読みで言うそらるさんにだけは、言われたくないなあって思った。