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とろけそうなほどの甘い笑顔。
ごくり、と喉を鳴らす音。
いたずらっ子のような目つきで笑う彼の、その熱の篭った瞳の中には私が写っている。
『……ははっ、緊張してんの?』
「………当たり前っスよ。こんなの、初めてなんスから」
本当は余裕なんてないのに余裕な顔をして笑っている私に、彼はぷくっと頬を膨らませた後、顔を近づける。
優しくて穏やかな、触れるだけの接吻。
モデルだからか、女の私よりもぷるっとした愛くるしい唇は、まるで接吻されるためにできているよう。
何度もしたことがあるのに、初めてのような感覚。
『…っ……ぁ、…』
「……っ…」
しかし、触れるだけの接吻なんて物足りない。
考えていることは彼も同じなようで、舌を差し込まれると、私もそれを受け入れる。彼の舌が柔らかく絡みついてきて、唇から身体全体に安心が広がる。
耳の付け根まで朱を注いだように火照り、胸がぞくぞくと躍るようだ。
「顔、真っ赤」
『……夕日のせい』
「めちゃめちゃ夜っスけど」
未だ掴まれている片方の手首から感じる熱。
風邪のせいか、はたまた別の問題か、彼は息を荒くしながら吐息を吐く。
ふと脳裏に浮かんだ灰色の彼の顔。
しかし、目の前の彼とは全くの別人。怖くもなんともなかった。
あ、大丈夫だ。
この人になら全部、委ねられる。
『うつすと悪いとか言ってたくせに』
「ははっ、うつしたらごめん」
長くて細いが、ごつごつとしている男の子の手が服の中に入り込んでくる。
彼の手から感じる熱に、こちらも熱くなってくる。
熱い。
あつ、熱すぎないか??
「……も、無理っスぅぅ………」
『熱上がってんじゃん!!!』
ぷしゅー、と音を立てて私の方へ倒れ込んできた黄瀬を、なんとかソファに寝かせて冷えピタを貼る。
後日、しっかりリベンジを果たした。
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春(プロフ) - らてさん» とても素敵なコメントありがとうございます!他のメンバーのお話も考えております。ご期待に応えられるか分かりませんが頑張ります!ありがとうございます!! (2023年1月24日 7時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - とっても面白いしドキドキしました。黄瀬くんも他の黒バスメンバーももっと大好きになりました。素敵な時間をありがとうございました!!!続編や他のメンバーのお話もぜひ見たいです、無理せず頑張ってください、応援してます! (2023年1月8日 0時) (レス) @page47 id: f9f6bd1b23 (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - みかんさん» そんなこと言ってもらえるなんて嬉しいです( ¨̮ )ありがとうございます!!! (2022年6月24日 8時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 涼太大好き!!!私元々黄瀬君のこそ好きでしたけどこの作品読んでもっと好きになりました!頑張ってください! (2022年6月23日 21時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - みかんさん» わー!ありがとうございます!!涼太ぁぁ! (2022年6月22日 23時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春 | 作成日時:2021年12月4日 22時