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俺にしがみつくように泣くから、Aちゃんの身体を強く抱いて頭を何度も撫でた。
俺の胸で泣くAちゃんは、今まで我慢してた感情を溢れさせているようで
声をあげて泣くわけじゃないけど、全然泣き止まなくて
そのまま泣き疲れて、気がついたら寝てしまった。
涙の跡がついた頬を撫でて、おでこにキスをして、囁くように言う。
「話してくれてありがとう。寂しかったね、頑張ったね」
寝ているAちゃんを抱きしめながら俺も寝た。
Aちゃんが起きても寂しくないように、隙間がないようにして。
次の日の朝、俺が先に目を覚ました。
Aちゃんは俺の胸に顔を埋めて寝ていて
髪をそっとどかすと、あどけない寝顔が見えた。
『んぅ……』
「ごめん、起こした」
Aちゃんが目を擦りながら、少し伸びをしてながら、また俺の胸に顔を埋めた。
『寝ちゃった……ごめんなさい』
「ううん。よく眠れた?」
『はい。あの、たくさん泣いてしまってすみませんでした』
「気にしないでいいよぉ。今度からは泣けばいいからね?我慢しちゃダメだよ。せめて俺の前では」
『はい、ありがとうございます』
「ん。おはようだね」
『おはようございます』
時計を確認すると8:00を過ぎたところだったから二人して、朝の準備をする。
並んで歯磨きをして、順番に顔を洗って、買っておいた朝ごはんを食べた。
『潤のお家のコーヒー美味しいなぁ。お店のみたい』
「機械だけど、結構いいのにしたからね。そこは妥協したくなかったし」
『そうですね。あぁ……おいし。朝からこのコーヒーが飲めたら勉強頑張れる〜』
「ふふ。頑張ってね。てかさ、Aちゃんってさ、卒業したらどんなところで働くの?」
早めに聞いておかないとさ?
突然言われても、色々困るし。
『うーん……まだ決まってませんけど、開発というより、現場で働きたいです』
「そっかぁ。希望のところで働けると良いね?」
『はい!』
「そしたらさ?俺にも教えてよ。お店で活かすから」
『えぇ?(笑)』
「まだまだ俺もAちゃんに負けないように勉強しないと」
『ふふ、教えられるように頑張ります』
さりげなく、なんとなく聞いたつもりだけど
本当はAちゃんといつまでこういう関係でいられるか知りたいし
卒業して働くのは予想できていたけど、その先も、こんな感じで二人で同じ時間を過ごしたいから。
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作者名:鈴 | 作成日時:2020年12月16日 14時