フリージアに恋をして2【ars/J.M】 (ページ44)

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出来ればおじいちゃんとおばあちゃんになっても……

って言いたいのをグッと抑えて、コーヒーと共に飲み込んだ。
　

Aちゃんの年齢の子に、俺の願望を押しつけてしまうのは申し訳ない。

結婚適齢期の俺と

まだまだ若くて遊び盛りのAちゃんが

同じ未来を見ていくのは今の時点では厳しいだろうなぁ……。

気付けば付き合って一年が経った頃、Aちゃんの家が完成した。

外観は和モダンのめちゃくちゃ良い家で

庭には小さな畑とAちゃんが産まれた時に植えた、さくらんぼの樹があって

家の中はおじいちゃんが戻ってきてもいいように、一階は全てバリアフリー。

二階にベッドを置いて、Aちゃんは今そこで寝ている。

土日になると、Aちゃんは自分の家に戻ってくるから

寂しくないように、土日は俺がAちゃんちに泊まって

朝から一緒にカフェで働くのが日課になった。

ちなみに俺が土日に泊まっていることは、ジョージさんに電話で報告済み。

真剣に付き合ってるとはいえ、将来を約束しているわけでもないのに

いや、俺は将来も見据えて付き合っているけど、Aちゃんに伝えてるわけじゃないから

色々説明しつつすみませんと謝った俺に

ジョージさんは、快くよろしくねと言ってくれて

何かあった時のためにと番号も交換しておいた。

あとは、俺が平日の仕事の休みの日は、学校終わりにデートしたり

また少しずつAちゃんのことも分かるようになった。

施設にいるおじいちゃんは病気で耳が不自由になってしまったから、手話と筆談でコミュニケーションを取っていること

おばあちゃんの実家は創業百年を超える、老舗の呉服屋さんということ

ジョージさんは結婚と同時にお嫁さんの実家の跡を継ぐことになったから、東京には住めないこと

今でも近所のおばさん、おじさんたちにすごくお世話になっていること

他にも細かいことをたくさん教えてくれた。

そして、俺の大事な大事なAちゃんの成人式がもうすぐやってくる。

お母さんの振袖を縫い直してもらったらしく、親戚の呉服屋さんへ行くといっていたから

休みだから学校終わりに車を出してあげたんだけど……

「え？！ここ？！」

『はい。葛西呉服店です。知ってます？』

「東京に住んでたら知らない人いないでしょ！マジか！」

『他の呉服店を知らないのでなんともですが。おば様～。お着物取りに来ましたぁ』