そこまで推しという訳ではない【宮治】【完】 (ページ5)

今日:26 hit、昨日:9 hit、合計:35,051 hit

５ページ5

▼宮治side

学校生活を1年も過ぎれば体育祭や文化祭とかの行事もあったし、自然とあの子がAAちゃんだという事も4組だという事も把握出来た。
ただ俺が一方的に知っとるだけやし突然話しかけるのも変やろうし、そもそもタイミングもきっかけすらもない。

もし万が一、俺の事を知っとるとしても《いつも喧嘩しとる双子》やろうな。そんな覚え方をされていたとしたら恥ずかしすぎる。

北「今日雨でテニス部が外練出来んみたいやから、俺らバレー部は第2体育館使わせてもらうことになったから、隣はバドミントン部やしいつもみたいにあんま煩くせんでな。」

侑は何で俺らが移動せなあかんのや！とキレとるが、俺はAさんがおるんや、と未だにグチグチ文句言うとる侑が前を歩いてるのを見ながら少し期待した。

練習内容もいつものような試合形式の練習は出来んから、最初の1時間は走り込みや筋トレ等の基礎トレ、その後はペアを組んで対人パス。
基礎トレをみっちり1時間もやれば、さすがの男子高校生でも正直しんどいし、角名と組んだ対人パスも手を抜くわけではないが自然と集中力も切れてくる。

角名が打ったボールが俺の腕から弾かれてコロコロと転がっていく。

「すまん、取り行ってくるわ」

隣のバドミントン部の方まで転がって行ったボールを追いかけ
「すんませーん！
ボールがそっち行ってしもて」

転がった先でボールを手に持ったAさん。
思わぬタイミングときっかけや。
どうぞ、と笑顔で手渡されたボールを手にお礼を言うので精一杯。俺は笑顔であの子にお礼出来たやろうか。
疲れなのか緊張からなのか角名のもとに戻るまで、頭も体もフワフワしとる。

俺らが何度か休憩を挟めば、気が付いた時には隣のバドミントン部は部活を終えて体育館を出て行った。

俺らは週末に控えとる練習試合に向け、バドミントン部が去った後のコートも使い試合形式で更に練習をする。
どんなに疲れとっても試合形式でやる方が何となく楽しいし、スパイクが決まればやる気も出る。
今年の春高も絶対に出たい。その為には県大会で優勝しないとあかん。

高校生活っちゅーもんは学生やし勉強も大事やけど、部活で注目を集めたり目標達成した時の快感は言葉では表せへんくらいに最高に好きや。
飯を食うとる時も幸せやけど、それとはまた違った意味で仲間と勝ちに向かって切磋琢磨する過程も、試合に勝った時の喜びも味わえる。