第四十三夜 ページ43
闇夜に紛れることの無い明るい短髪。
蝋燭の炎と同じ紅い瞳。
目も鼻も、口も有るべき場所に置かれた端正な顔。
一風変わった男だが、その髪や瞳は怪しげに男を飾った。
貴「お久しぶりどすなぁ。風間の旦那。」
風「やらなければいけない事が随分、立て込んだからな。」
二人の男女が並んで酒を飲む姿は何か、物語の中の様な現実味を帯びない程の美しさだった。
風「…何だ、会いに来て欲しかったのか?」
貴「旦那の話は、どれも不思議で興味深いどすからなぁ。早く来てほしいと思うのも必然でありんす。」
にやりと広角を上げ、怪しげに笑う男の言葉に此方はふっと微笑み、さらりと受け流す。
暫くして、思い出した様に風間が彼女に問うた。
風「そういえば、お前は何も聞かないのだな。何者か分からん俺の正体を知ろうとする女も山程いるというのに。」
貴「ここは花街。必死に稼いだ金を握りしめて来る男もいれば、何でもない様に来る幕府関係者も、それこそ長州侍だって。…そんな場所で生きてきた以上、野暮な事はいたしんせん。」
すらりと目を細め、穏やかに微笑む。
儚げでありながら、何故か全てを見透かされている様な微笑み。
そんな彼女の頬に手をかけ、するりと顎に滑らせ優しく持ち上げた。
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牡丹一華(プロフ) - ありがとうございます!中々進みませんが、頑張って作って行きたいと思っているので、よろしくお願いします! (2018年5月30日 19時) (レス) id: 3334f9c658 (このIDを非表示/違反報告)
結葉 - すごい楽しいです!続き、頑張ってください! (2018年5月19日 22時) (レス) id: e0601b0ff2 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹一華(プロフ) - コメントありがとうございます!出来るだけ早く、作りたいと思っているのでこれからもよろしくお願いします! (2018年5月7日 0時) (レス) id: 3334f9c658 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆 - わー―!!続きが気になります!応援してます。頑張ってください! (2018年5月6日 23時) (レス) id: 8bff64fcc3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:牡丹一華 | 作成日時:2018年4月30日 1時