検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:70,004 hit

第三十八夜 ページ38

三味線がべんと鳴り、琴がへろんと鳴る。
女がにこやかに誘い、男は酒と女に酔いしれてゆく。

艷やかな黒髪と相反する鮮やかな着物は、彼女を一層美しく見せた。

大きく広がった着物の裾は滑らかな脚を隠し、紅い唇が穏やかに三日月を描く。

貴「失礼しんす。」

期待を裏切らない凛とした声音で、美しい発音で言葉を紡ぐ。

沖「待ってたよ。中々戻ってこないから、迎えに行こうかと思ってたよ。」

伊「お疲れ様です。普段の仕事の他に、情報収集まで…大変でしょう。」

店の奥の奥、店の者しか知らない様な奥の部屋で二人の男が待っていた。

二人の顔を見ると、一層笑みを深くして微笑んだ。

貴「しっかり聞いて来んしたよ。意外と容易いどすなぁ。」

寒い冬には、熱い熱燗を。
ゆったりと上品に二人の徳利に注いでゆく。

沖「…どうだった?」

貴「そろそろ動く頃合いかと。新選組の内部を散々荒らせて満足そうどすなぁ。」

ふふふっと声を出すものの、彼女の瞳は笑っておらず冷たい雪の様だ。

伊「伊東達は、顔が広いですから。何処と繋がっていても可笑しくはありませんね。」

貴「だからと言って、あの歳さんが指くわえて見ているとは思えませんなぁ。」

沖「まぁ土方さんだし、何とかするだろうね。」

夜は更けてゆく。
彼女は知らない。彼女が戻って来るまで、誰にも分からない水面下で二人の男が火花を散らしていた事を。

第三十九夜→←第三十七夜



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
82人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 , 沖田 , 伊庭   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

牡丹一華(プロフ) - ありがとうございます!中々進みませんが、頑張って作って行きたいと思っているので、よろしくお願いします! (2018年5月30日 19時) (レス) id: 3334f9c658 (このIDを非表示/違反報告)
結葉 - すごい楽しいです!続き、頑張ってください! (2018年5月19日 22時) (レス) id: e0601b0ff2 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹一華(プロフ) - コメントありがとうございます!出来るだけ早く、作りたいと思っているのでこれからもよろしくお願いします! (2018年5月7日 0時) (レス) id: 3334f9c658 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆 - わー―!!続きが気になります!応援してます。頑張ってください! (2018年5月6日 23時) (レス) id: 8bff64fcc3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:牡丹一華 | 作成日時:2018年4月30日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。