第二十九夜 ページ30
何時もより暑い日。
ここはいつも通り騒がしかった。
とは言っても、その騒がしさは何時もの物では無い。
「姐さん!火事があったて!」
貴「あったんじゃあ無い…起こされた、どすえ…」
暑さも、騒がしさも火事が起こったからだ。
街が燃え、逃げ惑う人々。
子供や親を亡くした人が、途方に暮れる。
後に、禁門の変と呼ばれるようになるものだ。
貴「志は否定せんけんど、人を困らせるのは感心せんどすなぁ…」
ふぅと、深く溜息をつき、凛とした声音で告げる。
貴「忙しくなりんす。気張りなんし。」
彼女の声に、あい!と力強く返事が帰ってくる。
家族がいなくなったりしたり、生活出来なくなる子供が増える。
そうなると、おのずとここに来る者も増えるのだ。
彼女の一声で、慌てていた者達が一斉に動き出す。
忙しなく動く者達の中で、誰にも聞こえない様小さく呟いた。
貴「只、無事であります様に…」
己の事よりも、大切な者達を思う。外へ出て、何か出来る訳では無い。
戦いの最中の今、叶う事では無いとしても。
彼女の優しさだった。
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牡丹一華(プロフ) - ありがとうございます!中々進みませんが、頑張って作って行きたいと思っているので、よろしくお願いします! (2018年5月30日 19時) (レス) id: 3334f9c658 (このIDを非表示/違反報告)
結葉 - すごい楽しいです!続き、頑張ってください! (2018年5月19日 22時) (レス) id: e0601b0ff2 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹一華(プロフ) - コメントありがとうございます!出来るだけ早く、作りたいと思っているのでこれからもよろしくお願いします! (2018年5月7日 0時) (レス) id: 3334f9c658 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆 - わー―!!続きが気になります!応援してます。頑張ってください! (2018年5月6日 23時) (レス) id: 8bff64fcc3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:牡丹一華 | 作成日時:2018年4月30日 1時