相談中 ページ18
「狩屋君って、Aさんのことどのくらい好きなんですか?」
考え込むこともなく、最初に口を開いたのは輝君だった。
突拍子もなく、それどころが今更な気もする質問に俺も剣城君も驚いて。
顔には出さなかったものの、剣城君の方は輝君の質問を不思議がった
「どのくらい、って...そんな物差しで計るんじゃないんだから」
俺が呆れて返す。それができるような気持ちじゃないんだ、と。
しかし輝君は俺の言葉に納得するところが、怪訝そうな顔をしてため息をついた。
いつもは柔らかく幼い印象さえ感じる彼の顔が、どこか冷たく大人のように見えるくらい。
「甘いですね。」
「...は、どういうこと?」
何故か、自分でもわかるくらい凄く気持ちが焦ってきた。
なにか間違えたのか、それとも足りなかったのかという思考が瞬く間に脳を右往左往する
ましてや輝君に指摘されるとは。
「どのくらい、って言われてわからない、って答えるカップルは絶対いませんよ
大体馬鹿げていても目安があるんです。地球上の誰よりも、とか」
淡々と、それでいて[馬鹿げていても]と普段使いもしないような言葉で流暢に話す
こういうことに関して饒舌なのだろうか。でも俺知らなかっただけかもしれない。
その隣では剣城君が難しい顔をして、少し目線を下に落とした
「狩屋に諦めが見える、ってことか」
「まぁ言っちゃえばそうですね!」
先を読んでもらい共感を得たところで、元の輝君が戻ってくる。
ぱーっと明るい表情になり、言いたいことを言ってスッキリしたのかやけに爽やかになった。
正直思ってもいない指摘に、俺は自分の頭を抱える。
すると、大体分かってきたのか今度は剣城君の声が上から落ちてきて
「これからお前がどうするかに掛かってるようだが。」
と、無理矢理答えを迫るように聞いてくる。
屋上には直射日光が落ちてきて、温かいどころが暑い、と思うくらいの熱が篭っていた
それのせいにしたくはないが、判断力が少し鈍った気がしていて。
「...わかんねえ」
目の前の二人を置き去りにするがごとく、硬いコンクリートの上に転がる。
影にあったせいか、気休め程度に冷たい温度がじんわりと肌に伝わってきた。
これから、とか間に合ったらいいけどさ。無理に決まってるだろ今すぐには。
陽の光は、今日もやけに暑くて憎たらしい。
あの人みたいに優しく微笑んでくれればいいのに。
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夜月桜 - な、泣ける。・゜・(ノД`)・゜・。 小説でこんなに感動したことないです(>_<) (2017年3月29日 20時) (レス) id: 889de71093 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» こちらこそよろしくお願いします!よろしかったら他作品もよろしくお願い致します。 (2015年1月3日 20時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - よろしくお願いします! 更新頑張ってください!! (2015年1月3日 16時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» コメントありがとうございます!もうすぐラストなので、この雰囲気を保ちつつ納得がいくエンドをかけるよう頑張りたいです。更新も張り切りますので今後もよろしくお願い致します。 (2015年1月2日 15時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - すごく良かったです!読んでるとき涙がでてきてもう大変でした笑 更新待ってます^^ (2015年1月2日 15時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時:2014年9月20日 20時