通話終了 ページ17
「... ...今日は電話かけてくれてありがとう。手術の日、待ってるよ」
「ああ。一週間後には着くだろうから、その前には入院しておいてくれ」
「うん...またね。」
ぷつり、と音が途切れ部屋に静寂が戻る。
数十分間時が止まっていたかのように、体が鈍く重くなった。
大好きな人の声を聞いたせいか、胸はドキドキと心拍を早めて。
話す時とは違う熱が、身体にまだ残って私を駆り立てる
あの低くて、優しくて、包み込むような。
頭の中でまだ、あの声がふわふわと浮かんでは柔らかく響いている
早く彼に会いたい。抱きしめてキスをして欲しい。目の前で彼の声が聞きたい。
彼の熱や心拍が異常に恋しくなって、胸や喉が焼けるような感覚に襲われる
会いに来てくれた時の事をまた鮮明に思い出してしまう。
「...う」
嗚呼嫌だ。また寂しい。
せめて今誰かいてくれたなら。この感動を共有できたら。
荒く胸元を掴み、パジャマを着崩す。
まだどくんどくん、と気持ちが悪いくらい音が大きくなっている。
彼のすることはどうしてこんなに影響力があるんだろう。
寂しさからか、それとも苦しさからか開きっぱなしの目元から涙が一粒落ちる。
その涙は頬を伝うことなく、まさに溢れるようにシーツへ。
時間経過のせいか、彼の名前が映った【通話終了】の画面が光を失った。
.
.
.
「...え、手術って...？」
話はわかっているものの、意図がわからないのか輝君は首を傾げた。
その隣では、神妙そうな顔つきで剣城君が話を聞いている。
なんで俺がこの二人にこんな話をしてるかって言われると、明確な理由はなかった。
だけど、どうしてもAさんの手術に対して心残りがある。
...どちらかっていうと、手術後なのだが。
そこで二人に話すことにした。天馬君達は騒ぎそうだから置いておくことにして。
「狩屋は賛成しているのか？」
「ん。でも、正直その後の方が怖い。Aさんいなくなるんじゃないかって」
淡々と話すものの、本心は【どうにかしてほしい】と焦り続けていた
Aさんがいなくなる。
それは入院したときみたいに[帰ってくることはない]という意味合いで。
勿論、Aさんの人生はAさんのものだ。俺は物を言えない。
だけど...だけど、どうしても傍にいたかった。
もっとあの笑顔を見ていたい。もっと色んな事を話したい。
あの人が好きで、諦めきれなかった。
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夜月桜 - な、泣ける。・゜・(ノД`)・゜・。 小説でこんなに感動したことないです(>_<) (2017年3月29日 20時) (
レス) id: 889de71093 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» こちらこそよろしくお願いします！よろしかったら他作品もよろしくお願い致します。 (2015年1月3日 20時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - よろしくお願いします! 更新頑張ってください!! (2015年1月3日 16時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» コメントありがとうございます！もうすぐラストなので、この雰囲気を保ちつつ納得がいくエンドをかけるよう頑張りたいです。更新も張り切りますので今後もよろしくお願い致します。 (2015年1月2日 15時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - すごく良かったです!読んでるとき涙がでてきてもう大変でした笑 更新待ってます＾＾ (2015年1月2日 15時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時：2014年9月20日 20時
