怪盗たちの恋愛事情。８【黒羽快斗 / 業火の向日葵】

３６１ ページ23

･




「＿＿なるほど…、確かに当美術館のひまわりが狙われているようですね

…わかりました。
お客様に事情を説明し、閉館を早めてみます」



「ご協力、ありがとうございます」





閉館を早めたところで、なんだよなぁ。

キッドの事だ、返送してもう館内にいたりして。
…なんちゃって。((





「オメーもぜってぇ来いよ」



『分かってるよ…』





そんなに念を押さなくても;;








･






･






時は経ち、空が赤くなった頃。





「よーし、いいぞー…、
ゆっくり、そうだ…」




ひまわりを運ぶチーター運送のスタッフ達。
30分でここまで来てくれた。





「さすがチーター運送の石嶺だ
30分でここまで来るとは…」



「日没まであと1時間…何とか間に合いそうだな」





中森警部と毛利のおじさんの会話が聞こえてくる。





「私達にもなにか手伝えることは無い？」



話題の石嶺さんに話しかけたのは圭子さん。
…後ろの方にはなつみさんの姿も見える。




「そうだな…
梱包してる間に、フタを近くに寄せといてくれ」



「なつみ！フタを運びましょう！」


「えぇ！」




『……』




フタを運ぶために向こうに行ってしまった2人の背中をじっと見つめる。


…正確にはなつみさんの事を。





彼女、この期に及んでキッドの妨害を更に妨害しようとか考えてないよね？？


それが心配でならないのだ。





「あっ、お手伝いします！」



『…？』




フタを持ち上げようとした圭子さんとなつみさんに話しかけた1人の警備員の男性。


…何故か気になる。




「チーム以外の人間が関わるのを石嶺さんは嫌がるから…気持ちだけ頂いとくね」



岸久美子さんが丁寧に断った。





『あの〜…』


「…何か？」



そんな警備員の男性に声をかけてみる。




『…』


「…？あの…？」


『…、すみません、人違いでした』




もしかしてと思ったけど…違ったのかな。




再びみんなの元に戻ろうと引き返した時、


「おぉっと…待て待て。合ってるぜ」


先程の警備員が小声でそう言った。




…いや、快斗だ。




『え…合ってた？』



「おう。すげーなオメー…
なんで分かったんだ？」




快斗の変装は誰がどう見たって完璧だ。
私もそう思う。



『分からない…ただの勘』


「オメーの勘、よく当たっからなぁー」




お互い小声で話をしていると、



「Aお姉さーん！梱包終わったみたいだよー！」



と、新一が私を呼んだ。






･

３６２→←３６０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す