怪盗たちの恋愛事情。８【黒羽快斗 / 業火の向日葵】

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『ン“ン“…？？？』



夜中、感じた重みで目が覚めた。

せっかくひまわりが咲き誇る丘で気持ちよく走り回ってる夢を見てたのに。



『…。』



力を入れてみるも起き上がれない。

首の上と腹の上に何かが乗っかってる。




手で触れてみると、首には腕、腹には足。
これはヤツだ。寝相の悪い快斗だ。




『…重いわ！！』


「っ、！」



ビクリ、と肩を震わせて体を起こした快斗。




「んー…んだよ…仕方ねーだろ？
ベッドは一つだけだし」


『仮にも私は乙女なんだからな？』




自分で言ったけど “仮にも” じゃない、
正真正銘の女である。




「…ん、乙女ねぇ…。
なぁ…そろそろ教えてくれねーか？

オメーの好きなヤツ」


『…！』




横から抱きしめられ、耳元で囁くイケボ。

何だこれ何だこれ、コイツ寝ぼけてる？？
抱き枕状態だ。



私と同じシャンプーの香りがして、
自分の心臓もうるさいし何だかクラクラしてきた。




『えっ…と、まだ言わない』


「隠すって事は俺の知ってるヤツ…？」


『あー、うん。』


「…へぇ…」





短い返事の後、私を抱きしめる彼の腕に力が篭った。





「まぁいいよ…取り返すさ

なんていったって俺は、
怪盗…キッド様…だからな……」



ブツブツと何かを呟きながら
深い眠りに落ちていった快斗。



何なんだ一体…無駄に寿命を縮めた気がする。





『さて、私も寝るとしますか…』



明日は確か、
園子に会議に出ないかって誘われてた日…

早く寝よう。




『よっこいしょ…』




寝る前に快斗の胸元におでこを押し付け、
こちらからギューっと抱きしめてみる。


好奇心というか愛しさからというか、目を閉じてぐっすり眠る快斗の胸に収まってみたくなったのだ。




あたたかい。まるで子ども体温ってやつみたい。
そして何より、いい香り…(変態)





こんな風に正面から抱きしめる事なんてないから…
この時間だけは独り占めさせてほしい。



快斗は青子の事が好きで、青子だってきっと…

2人には悪いけど、今だけは。






『ってか、早く寝よ…』


首に絡まった快斗の腕を退かし、
少し恥ずかしいので彼に背を向けて横になる。



するとギュッと後ろから抱きしめてくる腕。

フワリと香る私とおんなじ香りに安心しながら、
私もゆっくりと目を閉じた…。




よし、これで明日も頑張れるぞ…(興奮)





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「…起きてるっつーの…」







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