違う所に ページ10
.
箱が頭部にでも当たったのか、私に覆いかぶさる様に守ってくれた彼は、頭を抑えていた
「天城さん？！ごごごごこめんなさい！私のせいで…！」
頭の中では何故忠告できなかったのか
何故私は横着してしまったのか
何故泉から逃げたのか
自分の行動が間違っていたせいで、こうして他人を巻き込んだのだと、押し寄せる後悔と、申し訳なさで目頭が熱くなった
情けない大人だ
「血とか出てないですか？！どどどうしよう…救急車呼んだ方が、、」
不安で震える手は、抱えている箱を握っても落ち着くことはなく、慌てふためく私を見て燐音はまた笑った
「事務員ちゃんのキョドリ具合、和むわ
あーでもマジ痛ぇ…」
「天城さん、本当にごめんなさい…
そして誠に申し上げにくいのですが、また毛糸玉落ちて来ます」
ぽろん、ぽろん
と丸いふわふわの毛糸玉が何個か燐音の頭部と背中に落ちた
「これ動いたらまた箱落ちてくるパターン？」
「かもしれません…
あ、あの、私のスカートのポケットに携帯があるので取ってもらっても良いですか？助っ人を呼びます…」
「りょーかい！俺っちに任せろ〜」
躊躇いなくポケットに滑り込んできた燐音の手に驚いて、一瞬身体跳ねた
言わなかった私が悪い、悪いけれども、どこのポケットか聞いてくれても良いのではないだろうか！
「っと悪ィ、コッチ？あれ？」
「っひｨ！あの、すみません後ろの左ポケットです…！」
「え？それって俺から見ての、か？」
「そうですぅぅうう…」
もはや罪悪感よりも羞恥心で死にそうな中、漸く天城の手が、私のお尻ポケットの携帯を掴んだ
安堵したのも束の間
「よっしゃ！取れたぜ！」
意気揚々に上げられた燐音の手が、糸を道連れに引かれた
再び彼の背後に箱が降りかかる
辺りに視線を向けて、棚から伸びる糸はこれが最後の一本というのを確認してすぐに、上肢を少し起こして落ちてきた箱を手で押し返し横に弾いた
「？！うぉッ…イケメ〜ン」
抱えていた箱があるものの、燐音とよりぐっと近づいた距離に青ざめる
「すすすすみません…！！」
「大丈夫大丈夫、プランク得意だから疲れてねぇし
もう安全だろ？」
「はい…天城さん本当にご迷惑おかけしました…」
「へーきだって」
ささっと毛糸を払い退けて、私に手を差し伸べてくれた彼
断るのも失礼かと思いその手を借りて立ち上がった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みんじろう(プロフ) - 遥斗さん» 遥斗さん！ご指摘ありがとうございました！全く気づいてませんでした💦すぐ訂正させていただきました！感想もとても嬉しいです(^^) (2022年10月13日 3時) (
レス) id: acc7c19a08 (このIDを非表示/違反報告)
遥斗(プロフ) - 面白かったですが、変換二つとも機能してないですよ〜！ (2022年10月13日 1時) (レス) id: 2872b3e107 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みんじろう | 作成日時：2022年5月30日 1時
