世界は箱庭 (ページ19)

今日:15 hit、昨日:0 hit、合計:2,839 hit

15話ページ19

「おらぁ！！」
「うわっ！？」

いつも以上に荒々しい染岡のプレイに練習を一旦辞めベンチで休憩を取っていた円堂と半田の所へ行く

『染岡君、今日は荒々しいね』
「あぁ…」
「染岡！今のはファールだろ！！」

半田の注意する声が聞こえてないのか染岡の強引なプレイは続き、ゴール前でシュートを放つがポストに当たりボールはフィールドを出てしまった。

「くそっ」
『…』
「どうしたんだよ染岡！」
「こんなんじゃ駄目だ！」
「染岡さん、ちょっとラフプレー過ぎますよ」
「そんな事ねぇよ！」

1人突っ走る染岡に当然、息の合ったプレイは出来ず時間だけが過ぎて行く。
そんな時、木野から集合が掛かる。向かえばそこには帝国戦中に取材の為ベンチにいた音無がいた。
話を聞くと尾刈斗中には怖い噂があり、それを伝える為集合してもらったと言う。

「尾刈斗中の怖い噂って何だよ？」
「えっとですね。尾刈斗中と試合すると高熱を出すとか、尾刈斗中のゴールにシュートしようとすると足が動かなくなるとか…」
『へぇー、面白い噂だね』
「面白いって雅さん…」

音無によって伝えられる噂に1年生達はそれぞれ不安の表情を浮かべる。

「あの…やっぱり豪炎寺さんか、それか雅さんをFWに…」
「そうでヤンスね…」
「お前らなぁ！！」
「「っ！」」

少林の言葉に栗松が同意すると丁度2人の後ろに立っていた染岡が怒鳴る。

「豪炎寺や雅に頼らなくても、本当のFWなら俺がいるぜ！」

意気込む染岡に半田や松野が続ける。

「その意気だ！染岡」
「今居るメンバーで頑張るってのもいいと思うけど？」
『ふふ、まぁそれが良いかもね』
「そうだな」

円堂達2年生がこれからの話をし、このメンバーで頑張ろうとするが1年達はそれでもと声を上げる。

「でもキャプテン。あの時豪炎寺さんや雅さんが来てくれなかったら俺達廃部だったんですよ？雅さんは今入部してくれたけど…なぁ？」
「今回だって負けられないってキャプテン言ってたじゃないですか…雅さんに相手のマーク付けられたら…」
「それに尾刈斗中なんか怖そうでヤンス…」

1年生達の考えは最もだ。名門と言われていた帝国学園との試合に颯爽と現れ、無理だと思っていた相手に凄まじい必殺技を放ち1点をもぎ取ったのだから頼ってしまいたくなる気持ちも分かる。

「だけど、人に頼ってたら強くならないぞ！」
「そうだ！」
「さぁ、皆練習だ！」
『…』

不安を抱えての練習は余り身に入らなかった。