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「別に」
最終的に選んだ言葉はこれだった。
そういえばへらっとこいつは笑った。
こいつは、オレが綺麗なものだと、そう思っているのが一瞬でわかった。
辛くなった。
ここにいるのが耐えられなくて、逃げたくて。
オレは一歩こいつとの距離をとって自分の服を掴む手を離させた。
今度は掴まれないように、背を向けて走り出してすこし距離を取った。
・・・・・・帰ろう。
屋根に乗るためさっきと同様に膝を深く曲げようとした。
『かかしおにいちゃん・・・・!』
今度はなんなんだ。
思い通りにならないことにイラついて今度は勢いよく振り返った。
あいつは変わらずそこに立っていた。
『おびとおにいちゃんをまもってあげてっ・・・!』
意味がよく分らなくて、返事もしないままオレはあいつの目の前から去った。
オビトに力がないと、あの一瞬でわかったとは思えない。
昨日少し一緒にいただけだか、オビトはこいつに兄のように接していた。
それでこいつは愛着というかなんというか、本当の兄のように感じているんだろう。
だから死んでほしくないと。そういうことだろうと自己解決した。
そういえば結局名前を聞けないままだった。
オビトと話している時に聞いていたけれど名前なんか重要じゃないと思って記憶にとどめることなく忘れてしまった。
帰ってきたら聞けるだろうか。
今度は胸を張ってあの瞳を見ることができるだろうか。
---この時オレはあんなことになるだなんてこれっぽっちも思ってなかったんだ。
(うまく伝わっただろうか。)
(あなたには後悔してほしくないから・・・)
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作者名:きゃおる | 作成日時:2022年9月24日 1時