トリップしたら自来也の娘に!?【part1】 (ページ35)

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すると両脇に火影様の手が入って、そのままふわりとその腕の中へ収められた。
その腕はパパのより少し華奢だったけど、力強さはかわらずにあった。
それと、煙草のにおいがした。

ぼーっとしていると、左手は私の後頭部に置かれ、３代目の胸に軽く押さえつけられた。

なんだ、この状況。

「ワシのせいで辛いことを言わせてしまってすまんのぅ。」

顔は見えないけど、じんわりと伝わってくるなにか。

火影様はそれだけ言うと、私と顔を向き合わせた。

「自来也の家族ということは、ワシもお主の家族じゃ。」

「今日からここがお主の帰ってくる場所じゃ」

･･････なんで私が欲しがっているものが分かってしまうのだろうか。

『っ、。うっ、』

嬉しさで溢れてきた涙を押さえることができなかった。

パパといれるだけで私は幸せだ。パパが私の帰るべき場所だ。
パパの帰える場所は何処だろう。何処か分からない。でも、私みたいに帰る場所はひとつじゃない。
それにいつの間にか不安を抱いていた。

“おかえりなさい”と言われる場所が欲しかった。

「三代目ぇぇええ！！！Aを泣かせたな！！！」

「･･････自来也！敬語を使わんかい！！」

「えぇいうるさい！
話しそらしおって！」

「なっ！師に向かってなんと言う口の聞き方じゃ！」

「だーーっ！！話をそらすな！
早く泣き止ませろ！」

ギャーギャーと騒ぎ始めた二人のせいで、シリアスモードは一気にぶち壊れた。
本当にこの二人仲良いよなぁ！

『ふふっ』

「「！？」」

涙は止まらないけれど、言い合う二人が可笑しくて、気付いたら笑っていた。

二人はこれでもかってくらい目を見開いていた。その顔は全く同じで、また堪えきれず笑い声が漏れてしまった。

泣いてはいるけれど、二人は大丈夫だと分かったみたいで、ふんわりとした笑顔を向けてくれた。

「おかえり、A」

ニコリと笑った笑顔が、太陽みたいだった。

ただいま。

やっと私にも帰る場所ができました。

(今度はただいまと、大きな声で言えるかな。)

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