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『これ、おちないから!その・・・』
「なーに、そんなこと買ったときから知るっとったわい!」
『!?(嘘でしょ!?)』
「何に使うか聞いても答えんしのォ!
それがこれのためだったとはなァ!」
『うっ・・・』
また大きく口を開けて豪快に笑う自来也様になにも言い返すことができなかった。
なんだか恥ずかしくなってきて下を向いたが、両頬を大きな手で包まれた。
「目ぇ瞑って少しの間じっとしとれ」
なんか言い方が…!とか思ったのは私だけでしょうか。←
目をつぶると顎をくいっと軽く上に持ち上げられ、えぇ!?と動揺してパッと反射的に目を開いたら“何を勘違いとるんじゃ”と怒られた。
ですよね!なんもないですよね!
目を閉じてしばらくすると、ヒヤッと冷たいものが頬の上を滑った。
くすぐったいのが我慢できなくて自分の服を力一杯握った。
バレない薄目を開けて様子を伺うと、いつもあまり見せない真剣な顔をしたおとーちゃんがいた。
うん、イケメン。格好いい。
「どうだっ!」
自来也様は得意気にふふんと鼻をならした。
出来が気になって、真横にある鏡台に自分の顔を映した。
スゴい・・・。あんなにガタガタだったのに。
鏡にはあの酷く歪んだ線の面影を残さず、真っ直ぐな線が描かれていた。
「これでお揃いじゃなっ!」
『・・・・・・うんっ!』
片方しか描かれていないけれど、嬉しかった。
これてちょっとは似てるって思われるかな・・・?
(ふふっ、これでお揃い♪)
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作者名:きゃおる | 作成日時:2022年9月24日 1時