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「はぐれるなよ」
『は、はい!』
そして毎度のように自来也様の着物の端をちょこんと掴んだ。
今は国につき、左右にたくさんのお店が並ぶ大通りを歩いている。
ちなみに今日来ている国は戦争にあまり関わってないみたいだ。
でも、自来也様がここに来たってことは何かあるんだろうけど・・・。
道はかなりの幅があるが、人が多すぎてかなりの混雑をしていた。
こんなにたくさん人がいない時はしないけど、今みたいにぐれてしまいそうなほどだとこうして、はぐれないように着物の端を掴ませてもらっている。
歩くスピードも合わせてくれて、毎日助かっている。
たぶん自来也様がいつも歩くスピードはこの三倍くらいなんだろうなぁ。
だって、歩幅が3倍違うんだもん。
でも私はこうして大きな背中を眺める時間がたまらなく好きだ。
唯一甘えられるのがこの瞬間だけだから。
大好きな背中だけをみて自来也様の後ろを歩いた。
そんな時鋭い光が私の目を刺した。
なに、眩しい!!
反射的にその光の軌道をたどってしまった。
その先には
水晶で作られた様々な装飾品が綺麗に並べてある一件のお店があった。
店頭にはたくさんの商品が並んでいたけど、反射して光を私の目に運んできたものはすぐに分かった。
それは、白く透き通った大きな丸い形をした水晶の首飾り。
綺麗で思わす見とれてしまった。
『きれい・・・』
無意識に出ていた言葉に。そして足を止めていることに私は気づかなかった。
「・・・・・・、Aどうかしたか?」
遥か高くから降ってきた声に驚いて、ビクンッと体が跳ねた。
いけない!!
よそ見しないって決めてたのにっ!
首飾りから目を離し、自来也様の方を向いて顔を横に降った。
『ごめんなさい・・・。なんでもないです・・・』
「・・・・・・そうか。
では行くぞ。」
そう言って自来也様はからだを進行方向へ向けた。
私は最後にもう一度だけあの首飾りをちらりと見てその場を後にした。
欲しかったなんて気持ちは心の奥にしまった。
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作者名:きゃおる | 作成日時:2022年9月24日 1時